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62手目まで「その3」で紹介した第17期竜王戦第7局▲森内竜王×△渡辺六段(タイトル・段位は当時のもの)戦と同じ手順を踏襲している。
前回記事を復習すると、この竜王戦の2005年の段階でも、この定跡はかなり確立されていて、第7局も55手目までそれに従って進行していた。56手目の△8八歩が後の先手玉の脱出ルートをあらかじめふさいでおくという手で、渡辺六段の新手であった。この新手が現在のこの戦型での定跡となっている。
森内×渡辺戦で問題となったのが第2-4図。飛車を取れれば後手良しと考えていたが、実際にはそうではなく、この△4四同飛に107分の長考をしている。渡辺六段はここで▲6五歩と桂を取られる手を心配していた。
自戦記より引用すると
「▲6五歩以下△4六飛▲4五角△2二金に▲5八桂(第3図)が妙手。
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この桂は△4五飛▲同桂△1八馬の時に△6六香を消していて、▲4七歩より勝る。
その後、新手△8八歩は定跡となり第3図から△3七馬▲4六桂△同馬で銀損ながらも後手も指せる、という結論になっている。
ただし、対局中はこの△3七馬で指せるという発想はなかったので、どうなっていたか。
自信はなかったが、仕方なく△4四同飛(第2-4図)と指したら森内竜王は▲6五歩ではなく▲4五銀と来た。この▲4五銀がどういう手なのかと言う前に、恐れていた▲6五歩ではなかったので、えらくほっとしたという記憶がある」
実戦は▲4五銀以下△8四飛▲3五桂△2四金(好手)▲4三桂成△4二歩▲3三成桂△5二玉と進み後手優勢となった。
谷川×羽生戦は、渡辺六段が危惧していた▲6五歩△4六飛▲4五角△2二金に▲5八桂と進み、その後も定跡手順となっている△3七馬▲4六桂△同馬を踏襲した。
この辺り、逆先を取る応酬で、第3図では後手は△4九飛成▲同銀△3七馬の金・桂との2枚換えより桂2枚との2枚換えを選択する。
これに対し先手も▲4八飛(第4図)と角取りを受けつつ馬に当て返す。
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やはり、続く……
【参考記事】
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その3 ~第17期竜王戦第7局と同一~」(10月1日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その2」(9月30日記事)
「A級順位戦 谷川九段×羽生二冠 その1【追記あり】」(9月26日記事)