英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第55期王位戦 第2局1日目

2014-07-23 19:56:09 | 将棋
 第1局は、木村八段の伸び伸びした指し手に対し、羽生王位の指し手がどこかチグハグ。更に終盤の踏ん張りどころでも読み抜けがあり、いいところなく敗れた。
 第2局は羽生王位の後手番なので、横歩取りと予想したが矢倉だった。羽生王位はもともと矢倉は得意なのだが、昨年度は先手番で5勝3敗、後手番では3勝4敗と苦戦している。今年度は第1局の敗局を含めて、先手番は1勝1敗、後手番は2勝0敗とまずまず。ちなみに一昨年度は先手番8勝0敗、後手番1勝4敗と極端な結果となっている。
 通算では、矢倉先手番.766、矢倉後手番.661で先手番後手番を合わせた矢倉戦の成績は.720と、羽生四冠としては平均の成績である。
 ただ、ここ数年、対森内戦で矢倉先手番をブレークされている印象があるので、矢倉先手番は苦手なのかなと思うことがある。
 昨年度から、横歩取り戦は先手番5勝1敗、後手番9勝0敗とほぼ無敵状態なので、第1局の先手番を落としたので、本局は横歩取り戦だろうと思っていたが、矢倉だった。まあ、羽生四冠にとって過去のデータの傾向など眼中にないのであろう。

 と思っていると、戦型は昨年度の名人戦第5局と同じ進行。
 そう後手番の森内名人が△3七銀の新手を繰り出し

 それに抗しきれず、惨敗と言える将棋で敗れ、シリーズも1勝4敗で敗れ去ってしまった将棋である(悲しい思い出はこちら)。

 だが、本局は後手番の森内側を持って指しているのが大きく違うところ。このままいくと、羽生王位が△3七銀を指すことになるが……
 しかし、55手目▲6八角ではなく▲5七に引いた。△3七銀と打たれる手に対しては角は5七の方が対処しやすいらしい。

 なので羽生王位も名人戦の△6五歩ではなく△2四歩を選択。実は昨年の名人戦の第5局までは、55手目の▲6八角に対しては本局の△2四歩の方が圧倒的に前例が多かったようだ。
 △2四歩と指せば、以下▲1二歩△同香▲2四角△2三銀と進むので、55手目の先手角の引き場所は6八でも5七でも同じになる。

 昨年度の名人戦第5局とは離れてしまったが、実は本譜の進行は2期前のA級順位戦最終局▲渡辺竜王-△郷田棋王戦と同じ進行。渡辺竜王が快調に攻めていたように思われたが実は難しい形勢で、結局攻めきることができず、郷田棋王の快勝となった一局だ。

 2四の歩を守る△2三玉ではなく、△2二玉と指した手が読みの入った一手で難解な局面が続いたが


 △5五歩に対して▲5五同角としたが、ここで▲7四歩を入れるのが正着で、ここから渡辺竜王が苦しくなったとのことである。

 本局は△2四歩以降▲1二歩△同香▲2四角△2三銀▲4六角△2四歩▲1三歩△同桂▲1五香△1四歩▲3三歩△3一金▲3二銀と同じ指し手を辿るが、

 △1五歩で離れる。ここで1日目は終了。木村八段が次の手を封じた。

 渡辺-郷田戦は△1五歩ではなく△3二同金だった(当時は新手)。
 本局の△1五歩は「4局の前例があり、羽生自身は先手を持って1局経験があり、勝利を収めている」と中継の解説に書かれている。
 本局は負けた後手を持って指しているわけだが、当然、勝つつもりで指しているわけで、明日は羽生王位が温めていた手を繰り出すのだろう。その前に木村八段が手を変える可能性もある。

 中継の解説によると
「図での前例は▲4三銀成と▲4三銀不成でいずれも金を取る手。控室の予想は福崎九段が▲2三銀成。武市七段が▲4三銀不成。長谷川女流二段が▲4三銀成。封じ手終了後控室に姿を見せた梶浦三段も▲4三銀成を挙げた」とある。
 また、Twitter解説の北島忠雄六段によると
「△1五歩は、どうぞ好きなように攻めて下さいという手です。羽生王位は局面に自信を持っているように感じます。
封じ手予想は▲2三銀成です。以下△同玉▲3二銀△同金▲同歩成△同玉▲1三桂成△同香▲2四角(想定図)と進んだ局面がどうか。先手、香損ですが自玉が堅く攻勢を取れているので、いい勝負でしょうか」とのこと。


 確かに、先手は攻勢が取れていて駒も捌けている。玉も堅い。
 後手は香得だが、1三の香が当たっており、▲1三角成と香を取られつつ馬を作られてしまうと、後手の主張点はなくなってしまう。しばらくは丁寧に受けることになりそう。今のところ先手の攻め駒も足りているが、持ち歩が一歩だけなのと実際に先手は香損なので、正確に受けていくと光が見えてくるかもしれない。

 木村八段が攻め、羽生王位が受ける……棋風と逆の展開だ。
 
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする