英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『軍師官兵衛』 第28話「本能寺の変」

2014-07-15 19:10:36 | ドラマ・映画
今回は、天下統一の情勢に激震を与えた本能寺の変、本能寺の変。
(光秀に倣って、2度言いました)

 歴史的には、「本能寺の変」が大イベントなのだが、本ドラマにおいては「その後の対応」の方が重要。
 「本能寺の変」については、割とオーソドックスに描かれていて良かったと思う。(何年か前に、信長の最期のシーンで大爆発した変な記憶がある)
 濃姫については同行説を採用していた。この方が、ドラマ的には盛り上がるが、濃姫が斬られた直後、あれだけ多数いた明智兵が潮の引くように消えてしまい、ふたりの別離のシーンが描かれていたのはテンポを悪くした。
 その後、信長が「生か?死か?」と言いながら幾部屋もの襖を開ける(7回)。壮絶な花占い?(襖占い)である。
 結局、目指した部屋が炎上しており、「死」の目が出た。
 窮地に至っても、信長らしい豪胆な思考回路だが、もし、部屋や掛け軸が無事であっても、現実的には絶望的な状況なことに変わりはない。その部屋にハンググライダーや凧が隠してあって逃げ延びる手段があったのなら面白かったが。(起死回生の大砲でも可)
 無事な掛け軸を見ることができたなら、「光や希望」を感じ、生への執着を見せ、逃げ惑ったと仮定しておこう。


「本能寺の変」直後、明智光秀
 秀吉や勝家らが自分を討ちに来るが、しばしの猶予がある。その間、加担してくれるものを募る算段。
「朝廷の威光を以って、信長が打ち壊せしものを作り直し、元のあるべき姿に戻すのだ。
 さすれば、乱世は終わり、太平の世が訪れる」

 光秀の謀反を起こした一番の動機は、「元のあるべき姿(朝廷を中心とする統治)に戻す」使命感としているが、「あの明智光秀じゃ、抜かりはあるまい。抜け道など塞がれておろう」と家康をして観念させる光秀の優秀性。(家康、あきらめが良すぎ)
 しかし、その割には、謀反を起こす前の準備が不足している。
 優秀な光秀の計画的な謀反であれば、信長家臣や他の勢力に自分に味方してくれる者に根回しするはず。
 一番、有効なのは秀吉だが、秀吉は信長に心酔しているので難易度が高い。毛利は乗ってきそうだが、秘密裏に行うのが難しいかも。
 冷静に考えるなら、謀反後の光秀の道は険しいと判断できたはず。無謀な行為とまでは言えないが、やはり、度重なる信長の苛めにキレたとした方が自然のような気がする。


さて、京の異変が伝わっていない備中や播磨
 熊の介の予知(察知)や、官兵衛の政職との再会は不必要に感じた。
 特に、政職については、以前に官兵衛が斬れずに許して逃がしたことで、充分である。
 今回、“軍師らしさ”を発揮する官兵衛であるが、その前に“官兵衛らしさ(お人よし)”の面も押し出したかったのだろうが、そんなことより、本能寺の変後の動きを丁寧に描いてほしかった。

 一番不満に感じたのは
 信長の死を伝える使者を送った長谷川宗仁がどういう人物かがまったく語られていない。
 天正六年(1578年)元旦に信長が家臣12名を呼び主催した茶会に参加した重臣であるとのことだが、その宗仁が織田家でどういう立場にいて、どういう考えを以って、秀吉や官兵衛に使者を送ったのかが分からなかった。


 また、使者も「秀吉と官兵衛以外には報を漏らすな」と言明されていたが、秀吉が遠方にいるのならともかく、官兵衛だけに伝えるのは不自然。官兵衛が本人かどうかを確かめる慎重さを持っていたのなら、なおのことである。


さて、今回のクライマックス、信長の死を知った官兵衛と秀吉

 官兵衛、秀吉の慟哭、狼狽ぶりは見ごたえがあった。
 信長の死を知った直後、冷静に使者を扱い、一人になった後の慟哭、そして、瞳に輝きを取り戻し策を講じる官兵衛。
 密書を心して読んだが、過呼吸気味に泣き叫び現実を拒む秀吉。

 その秀吉に対し、冷静に「機が訪れた」と諭す官兵衛。これぞ、軍師である。



 しかし、
「分かりますか、分かりますか、分かりますかっ!
 殿の御運が開けたのですぞ!……開けました。御運が開けました
 秀吉の瞳も、徐々に力を取り戻していく。

 黒い、黒い!……黒過ぎる!
   言葉も、表情も


 いや、軍師らしくて良いんだけど………
 信長に心酔していた秀吉に対して、幸運だ!なんて言ってしまうのは、駄目のような気がする。
 確かに、官兵衛にとっては信長は、信長流に言えば“天下泰平のための道具”であるし、自分を信用せず黒田家滅亡の危機に晒した村重に次ぐ犯人である。
 しかし、主君を失い悲嘆にくれる秀吉に告げる第一声がこれでは、あまりにも非情なのではないだろうか。

 光秀が信長を討ったことを“運が開けた”と言うのではなく、“勝家や丹羽らが光秀を討つ準備が整わず、光秀打倒の一番手に成り得る運が開けている”と諭すべきであった。
コメント (2)
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