英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『東京スカーレット ~警視庁NS係』 第5話

2014-08-14 16:53:11 | ドラマ・映画
 相変わらず鳴滝杏(水川あさみ)、係長・出町いずみ(キムラ緑子)たち登場人物に魅力を感じることはできない。
 ≪えっ?ここでそんなことを訊くの?(言うの?)≫というようなデリカシーのなさなど、杏の言動に幼稚さを感じてしまう。

 でも、事件の内容は考えさせられる。

なぜ、真由子は恩人を殺害した横井と結婚をしたのか?
 これが今話のカギで、
「横井は自分が愛しいと思う人、守りたいと思う人がいないので、殺人を犯しても懺悔の気持ちが全く起きない」と考え、
②では、「自分が、横井にとってそういう存在になれば、彼の生き方、考え方も変わるだろう」と考えた。
③実際に、彼女は横井にとって“大切な人”となり、彼女の身の危険を知り、「彼女を守ってくれ」と土下座さえした。
④そして、彼女が毒殺(実は脅迫は狂言、毒も自ら飲んだ)され、愛する人を失う悲しみを知り、自分の罪の重さを知った
⑤しかも、彼女の死後、横井に真実を知らせる手紙を読ませる手筈までしていた

 まさに命を懸けた復讐だった。
 ④まで彼女の計画通りに進んだが、ドラマはここから捻りに捻られた。

 その手紙は横井には読まれることはなかった。手紙が彼の手に渡る前に、刑が執行されてしまったからだ。
 真由子の協力者・黒川(横井の犯した殺人被害者の遺族)を追求し、手紙を横井に届ける直前、私はドキドキした。
 横井の心のよりどころであった妻・真由子の愛が、実は復讐のための偽りであったことを知ったら、彼はどうなってしまうのか?
 とドキドキしたら、すでに彼はこの世にいなかった……拍子抜け………

 さらに、真由子は死ぬ直前に思い直し、黒川に「手紙を処分するように」というメールを送っていたというのだ。
 服毒直前に、阿藤を擁護する「彼にも償いのチャンスをください」という杏の言葉を聞き、
 横井にも「自分の罪の重さを知り、後悔し、そして、その罪と正面から向き合って、刑を受ける」機会を与えたかったというのである。

 悪人であった横井が、心を改め、刑を受け、安らかな心で逝ったという“罪を憎んで人を憎まず”という人情ドラマで落着したが、なんだか納得できない、もやもやする。 

 まず、④までの要素で、視聴者である私は、真由子を≪復讐のためとはいえ、そこまでするのか?≫とショックを受けた。
 で、≪横井が真相を知ったらどうなる?≫と思ったら、死刑執行で拍子抜け.
 さらに、服毒直前で真由子が考えを改めたという事実に、さらに衝撃。

 ④までの回転でクラクラしていたのに、もう二捻りを加えられ、高速回転に目がついていけなくなってしまった。まるで体操男子の白井健三の「4回ひねり」を見るようなものである。

 しかも、この展開に大きな齟齬を感じてしまった。
 杏の「償いをするチャンスを与えてほしい」という言葉に、考えが改まり、復讐が目的でなくなったのなら、真由子は服毒して命を落とす必要があったのだろうか?
 確かに、愛おしい真由子が死ぬことで、横井が自分が犯した罪の重さを知ることができるが……
 生きて横井の最期を見とる方がスッキリするように思う。


 捻りを加えすぎて、着地に失敗したという気がしてならない。


【ストーリー】番組サイトより
 ある日、横井真由子(中村ゆり)が住んでいるアパートで放火によるボヤが起きた。真由子の夫は2件の強盗殺人事件を起こした死刑囚の横井剛史(弓削智久)。これまでにも彼女の周辺には嫌がらせが相次いでいたという。警視庁NS係の鳴滝杏(水川あさみ)と阿藤宗介(生瀬勝久)は彼女の身辺警護及び放火の捜査を命じられる。
 実は真由子には10代の頃に覚醒剤使用の前歴があり、捜査一課長・岩井十三(中村雅俊)はその線からの捜査も指示する。当時彼女を補導したのは新宿中央署の岡林巡査部長(村田雄浩)。岡林は覚醒剤押収の実績で都内トップと言われた刑事だったが5年前に自殺している。しかもその時に岡林とコンビを組んでいたのは宗介で…。
 数日後、真由子は宗介に対し岡林を死なせた人に守ってほしくないと断言する。NS係長・出町いずみ(キムラ緑子)は宗介を放火の捜査に回そうとするが、当の宗介は警護を続行すると聞く耳を持たない。一方、堀徳美(菅原大吉)と荒木田満(近藤公園)は横井が起こした殺人事件の遺族を聞き込んでいた。黒川秀輝(窪塚俊介)は横井への憎悪はあるが妻に殺意までは持っていないと話す。その夜、警護中の杏の目の前で真由子が毒殺され…。
コメント
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