英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

疑問だらけの采配 バレーボール・リオデジャネイロ五輪最終予選 対韓国戦

2016-05-18 19:58:21 | スポーツ
絶対に勝ちたい一戦の対韓国戦、1-3で落としてしまった。
  26-28、17-25、25-17、19-25
競った第1セットを落とし、第2セットは終盤は完全に崩れ、第3セットは奪ったものの、第4セットは韓国に圧倒されてしまった。
このゲームの流れだけ見ると、力負けしたように思えるが、勝てた試合だったように思う。
 采配さえよければ……


疑問の采配
1.木村負傷時の対応
 第1セットは絶好の出だしだった。
 キム・ヨンギョンを島村がブロック、さらに、古賀がスパイクを2本決め、3-0。この間、キム・ヨンギョンのスパイクを決めさせなかった。
 その後、荒木のブロックが決まり、6-2と快調。しかし……
 この荒木のブロックしたボールが横で手を伸ばしていた木村の右手小指を直撃。伸ばした小指にほぼ垂直(やや後ろ)にぶつかり、その指を捻じ曲げながらボールは韓国コートに落ちた。木村の顔が一瞬歪んだが、チームメートに心配を掛けまいと平気な顔をするが、かなり指を気にしていた。
 ここで、劣勢になった韓国がタイムアウト。良いタイミングでタイムアウトを取ってくれたと思ったのだが、眞鍋監督は……
「ミウ(長岡)、後ろ頑張って。来るよ必ず、ディフェンス、ディフェンス。
 ……沈黙………。  ……沈黙………。  ……沈黙………。(9秒間の沈黙)
 さあ、もう一回攻めるぞ。もう一回行くよ」
 木村の手の様子を確かめるどころか、異変に気づいてもいない様子。
 この後、ベンチレポートの大林素子氏が、
「チームドクターに氷を要求していたが、テーピングを巻かないので、とりあえず今は、大丈夫みたいです」
 テーピングする時間の余裕はないと思うが……。実況は少なくとも4度「左手の小指」と言っていたし……

 タイムアウト明け、ラリーになり、木村のオーバーハンドトスを長岡がブロックアウトを取り、7-2。かなり距離のあるオーバーハンドトスを綺麗にあげていたので、大丈夫かなとも思ったが……
 古賀のサーブがオーバーし、7-3。その次のプレーで、不十分なトスをプッシュアタックがアウトとなり、7-4。(ここで、大林氏の「ベンチでは8点取ったらテーピングする準備ができています」というレポート)
 さらに、キム・ヒジンがノータッチのサービスエースで7-5。
 そして、次のプレーで、木村がスパイクを決め、ようやくテクニカルタイムアウト(8-5)。
 眞鍋監督は木村に声を掛けることなく、攻撃の指示を与え掛けるシーンで、コマーシャル挿入。

 タイムアウトの際、テーピングは行わず、木村はそのままコートに。
 韓国のアウトオブポジションで日本の得点、9-5。
 荒木のサーブミスで、9-6。
 ラリー後、キム・ヨンギョンがスパイクを決め、9-7。
 木村のスパイクがブロックに掛かり、9-8。
 ラリー中、韓国のダブルコンタクトがあり、10-8。
 韓国のヤン・ヒョジンが決め、10-9。
 キム・ヨンギョンのスパイクで10-10……ついに追いつかれてしまった。

 この後、木村は普通にプレーをするが、やや精彩を欠いた。
 一進一退の攻防が続く。日本は長岡のスパイク、チームのレシーブ力。韓国はスパイクサーブと要所でキム・ヨンギョンが決める。
 韓国リードの場面もあったが、どちらかというと、日本が得点を先行。終盤は、日本23-22韓国、23-23、24-23、24-24、25-24、25-25、26-25と経過。セットポイントを迎えるが、あと1点が取れない(サイドアウトは長岡の快打で取るが)。
 26-26。古賀のスパイクが拾われ、キム・ヨンギョンがブロックの上から叩き込まれ、逆にセットポイントが韓国に。
 ここで、眞鍋監督、タイムアウト。(遅いよ)
「いいよいいよ、次次次次、気合入れて。行くよ行くよ……さあ行くよ、もっとフォロー入れよう。行くぞ、集中集中集中集中。ここからここから…」

 26-27、韓国のサーブ。サーブレシーブがAパスになり、セッター・宮下はバックセンターの長岡のバックアタックにトスを託す。
 長岡、渾身のスパイクだが、これを待ち構えていた韓国のブロックがシャットアウト。26-28。韓国が逆転で第1セットを奪った。


 大林氏のテーピング云々のレポートが入ったのが7-4の時だったので、韓国がタイムアウトを取った時に木村が指を痛めたことは把握したのではないだろうか?
 だとしたら、木村がオーバーハンドトスを上げたプレーで7-2となった時に、タイムアウトを取って状態の確認をすべきだった。そして、故障の程度に係わらず、ベンチに下げ治療をするか、休ませるなどして、悪化を防ぐのが第一である。
 木村を出し続けたため、他のメンバーは木村の状態が気になったり、不安を感じてしまったのではないだろうか?セッターの宮下も、木村にトスを上げるか迷ったはずだ。
 ポジションによるフォーメーション・システムの関係もあるかもしれないが、石井や迫田が好調なので、交代させてもよかったはずだ。
 それにしても、眞鍋監督はセットを通じて木村の怪我を気に掛けなかった。真っ先に異常に気付かなければならないのに。


 韓国は立ち上がりミスも多く、キム・ヨンギョンのスパイクも不安定だった。7-2の時点で、チームのプレーのレベルを下げなかったら、少なくとも第1セットは取れたはずだ。


2.タイムアウトの監督の指示
 (もしかしたら、CM挿入時に的確な指示をしているかもしれないが)ほとんど何も指示していないような気がするが……
 第1セット、最終盤のタイムアウトでさえも、ほとんど、精神面のことだった。
 サーブレシーブの指示(誰がどこまでカバーするか)、Aパスが上がった時は誰を使うか、サーブレシーブが乱れた時は誰を使うかとか、指示があってもいいはずだが。
 それに、最終盤にタイムアウトを取るなら、セットポイントを握っている時に、誰をサーブで狙うか、誰をマークしてブロックを跳ぶかなど、指示できないものなのか。


3.選手の起用法
 故障した木村の起用の他にも、不調の古賀(ワールドカップで活躍できたのはノーマークだった可能性もある)のスタメン起用……迫田や石井、あるいは山口の起用(フォーメーション的な点で難しいのかもしれないが)
 鍋谷の長時間の起用も疑問確かに、鍋谷が1点目を決め、怖いほど気合の入ったガッツポーズは沈滞ムードを一転させた。(第3セットは、木村と古賀をベンチに下げ、石井と鍋谷を起用)
 しかし、良いトスが上がった時しか決められないので、長くプレーをさせる選手ではない。一歩譲って第3セットは良いとして、第4セットも起用したのは納得できない。
 
 迫田の起用についても疑問。
 第3セットは、長岡のピンチサーバーとしてのみ。第4セットも、そのパターンでの起用だったが、ラリーになり、迫田がバックアタックを決めたので、そのまま起用し続けた。その後もバックアタックが決まったので、前衛に回ってきても、迫田をコートに出し続けた。
 迫田も好調で、長岡に匹敵する活躍をしたが、長岡と迫田が同時にコート上にいたら、もっと強力な攻撃陣になったはずだ


個々のプレーで気になったこと
1.キム・ヒジンのスパイクサーブにやられた
 強力なサーブだった。それにしても、リベロの佐藤はスパイクサーブが苦手だ。
 その他のサーブでも乱され、課題が残った。

2.サーブが弱かった
 逆に、日本がサーブで韓国を崩すシーンがほとんどなく、連続ポイントが少なく、ゲームの主導権を奪えなかった。
 荒木と古賀のサーブミスが目立った。本来良いはずの島村、宮下のサーブで崩せなかった。迫田のサーブが一番効いていた。

3.その他
・第4セット、宮下のトスが不安定だった。
・日本のレシーブはここまで対戦したチームの中では最高。
 強打に対するレシーブ、シャットアウトを食らったスパイクのフォローや、難しいこぼれ球を繋ぐプレーは見事だった。
 レシーバーとしてプレーする座安のレシーブも素晴らしかった。


韓国に敗れたのは悔しくて、痛い黒星だったが、気持ちを切り替えて、残る4戦戦って欲しい。
コメント (11)
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『99.9-刑事専門弁護士-』 第5話

2016-05-17 16:11:03 | ドラマ・映画
私は前回(第4話)からしか観ていないので、確信を持って言えないが……
       ……………『HERO』に似ている

・被疑者が留置や送検されてからのストーリーで、弁護士と検事の違いはあるが、周囲や常識にとらわれることなく真実(番組サイトでは“事実”と表現)を追求するキャラクター。
・佐田(香川照之)というアクセントはあるものの、法律事務所のメンバーの配分や役割
が、理由に挙げられるが、ネットでもそういう指摘がされているようだ。

さらに、事件のキーポイントも類似点があるようだ
・第1話……ナトリウム灯の下では色の見え方が違うという特性
  これは『古畑任三郎』→『相棒』でも利用されていた。
・第4話~……被疑者が他の事件の証人となっている
  これは、劇場版『HERO』と似ている。

設定やトリックなどが過去の作品と重なってしまうのは、ある程度仕方がないが、同一作品とこれだけ類似点が多いというのは、どうなのだろう?

 そういう印象があるせいか、松本潤の“したり顔(どや顔)”“合点顔”が気になって仕方がなかった。
 それと、三枝の犯行の容疑が強いのに、重要事件の証人ということで、自 殺で処理してしまう。当然、重要事件の証人というのも偽りなわけで、これが現実だったら嫌だな…嫌どころの話ではない。
 あと、佐田の娘の我儘な態度もドラマと分かっていても腹が立った。(後に、父親の威厳を見せるシーンがあるのだろうか)
 面白かったのは、手帳のメモ書きの「PM10 バー山本 12」の「12」が三枝のあだ名…三枝→さんし→3×4→12と、「骨格(合格)、凄いね」ぐらい。
 

【ストーリー】番組サイトより
 深山 (松本潤) は、三枝 (平田満) を暴行したとして逮捕された 谷繁 (千葉雄大) の弁護を担当することになる。事件当時のことを聞くため、彩乃 (榮倉奈々) と共に接見するが、その最中に谷繁は 「あいつが殺したんだ…」と呟きながら倒れ、意識不明の重体となってしまう。
 被疑者から話を聞けなくなってしまった深山と彩乃は、目撃者から 「『お前が殺したんだ!』 と叫びながら殴っていた」 と聞く。だが、被害者の三枝は、谷繁と面識もないのに襲われたと主張。納得の出来る証言を聞けない中、深山と彩乃は谷繁の妹に会いに行く。
 一方、不起訴の決裁が増えている検察官の 丸川 (青木崇高) は、検事正・大友 (奥田瑛二) から忠告をうける。さらに、過去の案件で再審請求を出されているから資料に目を通しておけと指示される。その資料には、ある名前が記載されていて……。

ゲスト
千葉雄大 … 谷繁直樹(三枝に暴行を加えて逮捕された男性。事件の際に転んで頭を強打しており、深山との接見の際に頭蓋内出血で倒れる)
平田 満 … 三枝尚彦(理白冷蔵の社長。谷繁直樹に暴行を加えられ、負傷する)
中丸新将 … 十条検事長(東京高検) 
小市慢太郎… 稲葉刑事部長(東京地検)

今立 進・やついいちろう … 「いとこんち」の客
松岡哲永 … 水鳥拳(ナガタロック警備保障会社の社員で元刑事。谷繁社長(直樹の父)死亡についての捜査を担当)
モロ師岡 … 山本(Bar Yamamotoのマスター)

脚本:宇田 学
演出:木村ひさし
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もはや格闘技……白鵬の立ち合い

2016-05-16 19:28:30 | スポーツ
1「相撲はスポーツである」
2「相撲は武道である」
3「相撲は格闘技(武術)である」
 これらのどれが正しいか……「どれも正しい」というのが正解であろう。

 スポーツ、武道、格闘技は「背反な事象」(「独立した集合」と言った方が良いのかなぁ…正確な用語の定義は忘れてしまいました)ではない。
 つまり、格闘技、武道、スポーツの複数に属する競技が存在する。もともと、共通する要素が多いので、交わり部分は大きく、一つにしか属さない競技の方が少ないのかもしれない。
 “球技は格闘技ではないだろう”と思うかもしれないが、バスケットボールのように接触プレーが多いものは格闘要素が多い。ネットで区切られているバレーボールでさえ、格闘要素がないとは言えない。
 陸上競技の中距離走なども格闘要素が強い。完全にセパレートコースになっているか、タイムトライアル形式だと格闘要素は少ないが。
 ちなみに、背反な事象の例として、学校のクラスがある。よほど特殊な場合でなければ、1組に在籍していれば、2組や3組に在籍できない。

 そんなわけで、「相撲はスポーツでもあり、武道でもあり、格闘技でもある」と言えるが、個人的には武道>スポーツ>格闘技であって欲しい。
 しかし、勝利によって報酬を得るプロスポーツは、勝利がより重要になる。根本的な理由は異なるが、相手を倒し生き残るのが目的の格闘技(武術)と同じように「勝つことが第一」という傾向が強くなる。
 大相撲においては、ここ十数年富みに、上位者が変化技や張り手を駆使することが増えてきた。勝利や優勝という結果を最優先しているからである。
 この考えの言い訳として、「強さ」=「勝利」、「横綱は強くなければならない」=「横綱は勝たなければならない」がある。
 しかし、これは少し違う。ファンは横綱の相撲を見たいのであって、横綱の勝利を求めているわけではない。(私は「羽生名人の勝利を強く望んでいる」ので、“仰向いて唾”状態かもしれないが)
 横綱は“大相撲界の顔”としての責任がある。横綱が、魅力のない相撲、品位に欠ける所作を取れば、大相撲の人気は低落する(私は、最近の大相撲人気が不思議で仕方がない)。優勝賞金とは別に高い給料も貰っているはずだ。

 「大相撲は格闘技だから、張り手は当然だ」という考えもある。
 しかし、冒頭とは矛盾するが、「相撲は格闘技ではない」この場合の「格闘技」は「狭義での格闘技」である。
 相撲の勝利条件は「相手を土俵の外へ出す」か「相手の足の裏以外の体の部位を土俵につけるか」で「相手を倒す」ではない。相手にダメージを与えるのではなく、“力比べ”と言って良いだろう。
 「張り手」は「相手の機先を制して優位に立つ」手段であって、「ダメージを与えて倒したり、優位に立つ」ものではない。 

 張り手も変化技も「反則を犯さなければ、堂々の勝利である」という考えもある。
 これは「スポーツ」としての観点からでは、なかなか反論は難しい。しかし、武道という観点では、「精神に反する」ということができる。それと、先述した“大相撲界の顔”としての「魅力」の観点から反論できる。


 さて、今日の記事の動機は
「白鵬の立ち合いが、あまりにも危険」
ということ。

今日の勢(いきおい)戦
 立ち合い後、左手で張り手(強いものではない)で機先を制した直後、右腕で「かち上げ」。
 「かち上げ」とは、「前腕を胸に構えた体勢から相手の胸にめがけてぶちかましを行うなどの形を取る。相手の体を起こすことや相手をぐらつかせること、相手を後退させることや相手の肩に当たることで差し手を取る隙を作るなどの目的で使用され、本質的に突き押しの技術である」(ウィキペディアより)
 白鵬のかち上げは、右腕の肘に近い部分(一番硬く鋭い肘ではないが)をフック気味に相手の顎を目がけてぶちかます。“肘打ち”に近い 
 この「肘打ちに近いかち上げ」が、最初の張り手で訳の分からなくなった勢関の顎に炸裂!
 脳震盪を起こした勢は、土俵に崩れ落ちた。

 この「張り手&かち上げ」の立ち合いは、対琴勇輝戦でも見られた、幸い、琴勇輝がもろ手突きをしたので、かち上げは直撃しなかったが。


 大相撲の人気が下降するのは構わない(低落すべきだと思っている)が、この白鵬の立ち合いの複合技や、日馬富士、鶴竜、豪栄道の張り手を規制しないと、土俵上で悲しい事故が起きてしまう可能性大である。
 今場所、やたら「“立ち合い”時に両手をしっかりつけること」の指導が厳しいが、指導の方向がおかしい。
 張り手やかち上げの本来の使用法とは逸脱しているので、「張り手やかち上げはルール内」という考えは誤りである。
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16パズル ……中田七段作詰将棋 中日新聞系新聞出題

2016-05-16 19:15:45 | 詰将棋

2016年5月10日 中日新聞系新聞出題、中田章道七段作。(5分で1級、10分で3級)

 新聞出題作です。
 新聞紙上でのヒントは、コメント欄にてご紹介します。

 解答はこちら
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スパーズ、ビッグ3の終焉  2015-2016NBAプレーオフ・カンファレンスセミファイナル

2016-05-15 13:34:27 | スポーツ
 2015-2016NBAプレーオフもいよいよ佳境。
 ウォリアーズ、キャバリアーズ、サンダーがカンファレンス・ファイナル進出を決めている。残る1チームはラプターズ×ヒートの勝者で、最終の第7戦で決着がつく。
 私のお気に入りのスパーズは、カンファレンス・セミファイナルでサンダーに2勝4敗で敗れてしまった。レギュラーシーズンは勝利を積み重ね、かなりの高勝率でウエスタンカンファレンス2位でプレーオフに進出した。
 チームを率いるのは、名将・ポポビッチ。スターターのポテンシャルも高いが、選手をうまく育成しチームの層の厚さもリーグの1、2位を争う。ゲームを通した視野を基に、時間配分を考慮した選手起用など、戦略戦術に長けている。これは、ゲームだけでなく、シーズンを通しても言えるようで、敗戦も予定通りだったのではないかと思われるほどである。
 移籍が少なく、長年スパーズでプレーする選手が多いのは、ポポビッチとプレーヤーの関係も良好なのであろう。ダンカンは5回の優勝、パーカー、ジノビリも4回の優勝。19年連続のプレーオフ進出と17年連続のシーズン50勝相当以上を達成(継続中)し、NBAで最も安定した強さを誇るチームである。
 私は、デビッド・ロビンソン、ショーン、ショーン・エリオットの頃からスパーズは好きだったが、やはりこの頃は、マイケルジョーダンのいるシカゴブルズのファンであった。ジョーダン引退後は1チームに絞らず、好きなプレーヤー(クライド・ドレクスラー、ラシード・ウォーレス、レイ・アレン、ダーク・ノヴィツキーら)が所属するチームを複数のチームを応援するようになった。ピストンズ、セルティックス、マーベリックスなどがそうだが、応援するチームの中に、必ずスパーズは含まれていた。

 今期のプレーオフも1stラウンドで第7シードのメンフィス・グリズリーズを4勝0敗で圧倒し、カンファレンス・セミファイナル第1戦を快勝した時点ではこのままカンファレンスファイナルまで行くかと思われたが、第2戦(ホーム)を落とすと、第3戦勝ち、第4戦負けと一進一退を繰り返し、天王山の第5戦(ホーム)を迎えた。
 この一戦も激しい攻防が繰り広げられたが、10点差を維持するなど第3Qまではスパーズペースだった。第3Q終盤、サンダーが追い上げ3点差に詰め寄ると、第4Qは激しい攻防、最終盤もデュラント、ウェストブルックがスーパープレーを決め、スパーズを突き放し、大きな1勝を挙げた。
 続く第6戦は中盤から波に乗ったサンダーが圧倒した。スパーズも第4Q,26点差から12点差ぐらいまで追い上げ意地を見せたが、サンダーの勝利は揺るがなかった。


 やはり、第5戦を落としたのが痛かった。
 レナードの攻守にわたる奮闘と、グリーンの3Pシュートでリードしたが、パーカーがターンオーバー(意図したプレーに身体がついていかない感じ)、ダンカンも従来なら決められたシュートを外す。ジノビリもゲームの流れを変える彼ならでの強引なスーパープレーを鳴りを潜め、逆にチームの足を引っ張るターンオーバーを繰り返した。
 長いレギュラーシーズンの後、更に1段激しさの増すプレーオフでは思うようなプレーができないように感じた。
 もちろん、チーム自体もビッグスリーではなく、レナードを中心とした戦術に切り替えており、今期はオルドリッジを獲得しペイントゾーンを補強した。ペイントではダンカンよりオルドリッジがオフェンスの第1オプションになっていたようだ。
 ところが、この試合、このオルドリッジのシュートが決まらない。イージーシュートを外し、さらに、強引にシュートをして外す。オルドリッジがボールを保持した時の、ダンカンまたは他のプレーヤーとの連携も出来ていなかった。サンダーのデイフェンスも厳しかった。
 先に挙げたレナードとグリーンの活躍の他に、ビッグスリーかオルドリッジのうち一人が通常の働きをしていれば、もっと点差を広げて第4Qに反撃されたとしても逃げ切れたはずだ。個人的には、オルドリッジの不甲斐ないプレーに腹が立った。

 ダンカンも40歳。全盛期は多少難しいシチュエーションでも、彼にボールを託せばなんとかしてくれたが、今は厳しい。もちろん、並のプレーヤー以上のプレーはできているが……引退するのかなぁ。



 サンダーは強かった。
 デュラントとウェストブルックはだれにも止められない。ウォリアーズの“スプラッシュブラザーズ”(カリー&トンプソン)にひけを取らない強力さだ。
 アダムスとキャンターのペイント陣も、アグレッシブさ、集中力、パワー、テクニックでスパーズを圧倒していた。イバカ守備力、シュート力も健在。
 カンファレンス・ファイナルのウォリアーズ戦が非常に楽しみだ。
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『捜査一課9係 season11』 第6話「花の殺人」

2016-05-14 23:43:20 | ドラマ・映画
2話続けて、被害者の意味不明な行動、理解不能な心理だった

沙耶の人となりや信条を示す言葉と不可解な心情・行動
・「創作は生きている意味のすべて」
・「(作品が創れなくなったら)生きている意味がない」
→創作に対する情熱の裏に“生き急いでいるような危険な情念”を感じた(by静香)
・「愛とか希望を素直に表現する自然な創作姿勢だった」(by静香)
・「あなた(赤嶺)に作品を作る死角はない」と言いアシスタントの作品をぶち壊す
→「厳しい人でした」(by赤峰・アシスタント)……激しくてエキセントリック(by志保)
・「今の彼女のテーマは“永遠の命”。芸術家のテーマは移ろうものだ」(by香坂・ギャラリーオーナー)
・「あの女、田沢先生(美術評論家・パトロン)を寝取ったのよ」(byフラワーアーティスト・城崎)
・「私は城崎佳苗より葛城沙耶の才能を買った。それだけの事」(by田沢)……葛城沙耶との情事は不明
・「葛城先生は本当の作品を作っていない。葛城先生の原点は生の花なのです。人工保存花は先生の本当の作品ではない」(by超能力者・森屋千秋)
・「藤山聖子華道展から帰ってきた時、様子が変だった」(by赤峰)……後の捜査で、ギャラリーオーナ・香坂と聖子がデキていると沙耶が知ったことが判明
・「“本物の命を作らなければならない”と先生が言っていた」(by赤峰)
・最後の作品だけ生花のシロツメクサが使われていた
・「シロツメクサの花言葉は“復讐”」……復讐の意味……香坂に沙耶自身を殺させ、復讐のメッセージである生花を飾らせることだった

 創作がすべてという沙耶に静香(野際陽子)には“生き急いでいる”ようにも思えたとあるが、“いっぱいいっぱい”の余裕のなさはあるが、“生き急いでる”という印象に結び付けるのは無理がある。
 本来、沙耶の創作の原点は生の花だった。香坂がマネージメントするようになり、人工保存花を使用するようになったとのことだが、「作品を作れなくなったら生きている意味がない」言っていた沙耶が、愛する人の指示とは言え、テーマ(創作主義)を変えるのはおかしい。また、主義を変えるほど香坂を愛していたとも思えない。
 肉体などの疾患で創作ができなくなったのならともかく、香坂に捨てられたからといって、生を放棄して復讐に走るとは思えない。それに、フラワーアーティストの地位を確立していたので、愛情はともかく、香坂の支援はそれほど必要ないし、自分の意にそぐわない創作を強いる香坂と手が切れるのは、沙耶にとっては良いことである。

 自分に人口保存花を強いた香坂が選んだ女性が“生きた花”を使用する華道家だったことが怒りを増強させたという面はあるにしても、不可解な沙耶の心情・行動である。


香坂の不可解な心情・行動
 デッサン画に誘導されたとはいえ、沙耶を殺す必要があったのだろうか?
 仲人の美術評論家の田沢も「喰うか食われるかの世界で、色恋沙汰(不倫)など小さいことには拘っていられない」と言い切っているし、殺人の罪を犯すには動機が弱い。


 それに、最後の捨て台詞も意味不明
「美大を出て、仕事がなくて一文無しだった俺が、やっとの思いでここまで来たんだ。
 俺はこの世界の頂点に立つ才能があるんだ」
 才能がなくて一文無しで、現在の地位は沙耶の才能をマネージメントしただけ。

 さらに、倫太郎の糾弾も的外れ
「この世で唯一無二の稀有な才能を消し去った…お前、そのことの意味が分かるか」(by倫太郎)
 人工保存花と香坂のマネージメントで沙耶は台頭出来たと言える。
 そもそも、人に指示されて主義や作風を歪めてしまった沙耶は“唯一無二の稀有な才能”と呼べるのか?



それらしい台詞で“いい話”でまとめてしまった
【天使の羽の意味は懺悔】……
「生の花で終わりある尊い命を表現できなかった自分を戒めて懺悔するつもりで、もがれた羽を飾ったんではないでしょうか」(by赤峰)
「今この瞬間、あなた、沙耶さんが言う“作品を作る”資格を得たんじゃないでしょうか」(by倫太郎)
「沙耶さんは、香坂に殺されることで、自分の最後の作品を完成させたかったじゃないですかね。
 愛した男へ向けた命懸けの最後の作品を」(by浅輪)
「唯一、沙耶さんを理解したあなたが、彼女が創りたかった作品をあなた流に作ってあげる。それが沙耶さんに対する最大の供養になるんじゃないでしょうか?」(by倫太郎)

 主人公ふたり、倫太郎&浅輪に良い台詞を言わせたかったのだろう。
 特に、浅輪の台詞は酷い。なぜ、そこまで沙耶を賛美するのだろうか?


 
正体不明、謎の人工保存花
「これ本物の生花じゃない。よくできてるなあ」(by倫太郎)……匂いや手触りが違うらしい
「保存の為、人工的につくられた花で“人工保存花”と呼んでいる」(by香坂)……人工的に造られたというのだから、天然の花を加工したというモノではないと考えられる。でも、どうやって造るのだろう?原料は?
 もし、一から加工して花弁1枚1枚作っているのだとしたら凄い!でも、誰が造っているのか?

破壊力抜群のキャラ……超能力者・森屋千秋(梅舟惟永)
 青柳と矢沢を「痩せてる人、太っている人」と呼び掛け、不思議な力で二人を抑圧し、見えなくても感知してしまう超能力者。
 意味なしの盛り上げキャラかと思ったが、「香坂がマンションの裏口から出てきた」という千秋の証言に対して、「嘘だ、彼女は目を瞑っていた」と反論し、墓穴を掘ってしまうというところに繋がるとは……

 ただ、葛城沙耶のマンションの防犯カメラをチェックして、誰も最後のデッサン画を持ち込めなかったという謎を提示したが、実は、「カメラが裏口をカバーしていなかった」というのは酷いんじゃない?


“面倒な女”キャラに格下げされた倫子(中越典子)
 第1シリーズからしばらく、事件第一で過程を省みなかった倫太郎を憎んでいた倫子だったが、徐々に倫太郎を理解し、和解していったが、シリーズによってその距離が大きく変化する(原因となるエピソードなし)。
 また、しょっちゅう職場を変えたり、時には海外へと浅輪を置いてけぼりにしてしまったこともあった。第9シリーズでは味覚障害になり浅輪と別れようとしたり、今回は「愛がない」と指摘されパティシエをあきらめてしまい、浅輪の良い妻であることに固執する。
 アクセント的存在であるが為、シリーズによってキャラが激変する非常に気の毒なキャラだが、今回は夫婦生活に執着するというキャラらしい。
 しかし、これだけキャラがブレルのはどうかと思う。正直、不快である。




【ストーリー】番組サイトより
 独特の花のオブジェに囲まれた前衛芸術家・沙耶(青山倫子)の遺体が発見された。手首には切創、傍らには作業用カッターが落ちている。自らの作品の中で自 殺したのか? しかし、沙耶は睡眠薬を飲んでいるうえ、工房の鍵は開いており、自 殺とも断定できない。
 第一発見者のギャラリーオーナー兼マネージャーの香坂(渡邉紘平)によると、「永遠の命」をテーマにした沙耶の作品はすべて人工保存花を使用しているという。しかし、倫太郎(渡瀬恒彦)は、花のオブジェの中で唯一シロツメクサだけ生花であることに気づき、疑問を抱く。

 倫太郎と直樹(井ノ原快彦)は、沙耶の部屋で沙耶と静香(野際陽子)が写る写真を発見。さっそく静香を訪ねて沙耶について聞くと、無名時代の沙耶は生き急いでいるような危険な情念を感じさせたという。また、無名だった当時の沙耶は自然の花だけを使った作品作りをしていたとか。
 志保(羽田美智子)と村瀬(津田寛治)は、人気の落ちたフラワーアーティスト・佳苗(奈良富士子)が沙耶とトラブルを抱えていたと聞きこんだ。佳苗は、美術評論家の重鎮、田沢(不破万作)を寝取られたため立場が逆転したのだと主張する。その恨みで佳苗が殺した…?
 そんな折、青柳(吹越満)と矢沢(田口浩正)は、沙耶の魂と交信してると言い張る熱心なファン・千秋を連行してきた。自分は沙耶に代わって本当の作品を創っているという千秋。その作品が人工保存花ではなく、生の花を使っていることに疑問を抱いた倫太郎は、直樹と改めて沙耶の自宅マンションを調べ、意外な物を発見する。

 自 殺か、他殺か? 花に込められたメッセージを読み解いた倫太郎たちがたどり着いた、事件の結末とは?

ゲスト
葛城沙耶 … 青山倫子
田沢君也 … 不破万作
香坂亮一 … 渡邉紘平
城崎佳苗 … 奈良富士子

脚本:保正和之
監督:吉田啓一郎
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【歳時メモ】 フランス菊、アヤメ、イモカタバミ

2016-05-14 10:51:03 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

 春紫菀(ハルジオン)、紫蘭、ギシギシorスイバ(どちらかというと「スイバ」っぽい)は引き続き最盛期。
 アヤメ(花菖蒲、杜若)、も、最盛期に突入。
 イモカタバミも最盛期です。この花は、真夏と真冬を除いて年中咲いているような気がします。それと、綺麗な色なので、除草される率が低く、割と目のつくところ(植え込みや前庭の脇)で観ることも多いようです。

 山法師も咲き始めました。
 
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まだ、ブレイクチャンスは2度ある! ~2016年 名人戦第3局~

2016-05-13 22:57:25 | 将棋
最近よくある(特に王将戦)「暴発して、立て直すことなく寄り切られる」パターンで完敗………


 29手目、昼食休憩を挟んで1時間17分の長考で▲2四歩。
 昼食休憩の1時間を含めると2時間17分になる。1日目なので持ち時間は充分にあるので、箸を動かしながら局面を考えているはずはない。とにかく、2時間以上の間を置いての着手なので腰の座らない着手ではないはずだ。
 しかし、▲2四歩以下△3四銀▲3六飛(第2図)の動きは何となく不自然。後手の3四の銀に狙いをつけたわけだが、飛車が2筋から動いた為、△2七歩や△2八歩が生じている。さらに、4五銀とされた時には飛車当たりになる。
 ▲2四歩では、▲3六歩が有力。▲6八玉型なので2、3筋を主戦場になるような戦い方をしたい(気がする)。

 他には▲5六飛が有力。▲2二歩△同金▲3三角成△同桂▲3一角が直接の狙い。昨年度のA級順位戦の▲行方八段-△深浦九段戦、▲行方八段-△佐藤天八段戦で指されている。

 ▲行方八段-△深浦九段戦は、▲5六飛以下△6二金▲3六歩△7三桂▲3七桂△6四歩▲3五歩と進み、熱戦が続いた。
 ▲行方八段-△佐藤天八段戦は、、▲5六飛以下△6二金に行方八段が▲3六飛と手を変えたが、当人は「▲3六飛と戻すのは思いつきでしたが、腰が入っていなかったです」と語っている。思いつきとは▲3六飛△7五歩(放置すると▲3三角成△同桂▲6六角の筋がある)に、▲3三飛成△同桂▲5五角打だと思われるが、実戦は▲3六飛△7五歩に▲1七桂△7三桂▲7五歩△5四飛▲3三角成△同桂▲2四歩△3四銀▲5八金△2七歩で参考図3。

 以下▲7四歩△6五桂▲7六角△6四歩▲7七桂△4五銀▲6五桂△同歩▲2三歩成△3六銀▲4二と△4五桂▲6四桂△同飛▲4六歩(参考図4)と進んだ。



 本局に戻る。

 第2図以下△7五歩▲同歩に、午後4時53分、佐藤天八段は2時間9分の大長考で△5四飛。
 この△5四飛に対する予定手順の中に何か誤算があったのだろう。この手を見て、羽生名人が長考に沈み、そのまま手を封じた。

 やはり第2局の逆転負けが、羽生名人の心理に影響を与えている。
 ≪消耗戦を避けて、早く決戦に持ち込みたい≫
 その気持ちが▲2四歩の決戦策を考え、
 ≪佐藤天彦は手強い≫
 焦りが読み抜けを生じさせた。


 確かに佐藤天八段は強い。
 しかし、私が断じるのは恐れ多いが、総合的には羽生名人の方が強い。
 だから、一気に決めるのではなく、最善を追及すればよい。
 ≪手の多い複雑な局面、何を指したらいいのか分からない自分の方向感覚が問われる局面で、読み勝とう!≫
 消耗なんて考えず、
 ≪1週間掛かっても勝つ≫

 ぐらいの気持ちで良いのである。


 
 封じ手の候補手は①▲7四歩、②▲5八金、③▲5八玉、④▲1七桂、⑤▲8六飛などあるが、どれも苦しそう。おそらく、≪どの手が一番勝負に持ち込めるか≫を1時間30分余り、苦悩していたのではないだろうか?

 封じ手は▲5八玉。
 ≪6八玉型は間違えていました≫
という手で、しかも、この手はもう一手▲6八銀と指さないと効果が出ない指し手だ。(こういう手を指せることも羽生名人長所とも言えるのだが)
 このほぼ2手損が大きく、局勢に後れを取り、追いつくことはできなかった。
 飛車が2筋にいない事でと金を作られ、6八玉方を修正しようとしたが、それも間に合わないという冴えない負け方だった。

 蛇足だが、▲行方八段-△佐藤天八段戦も本譜と同様な展開となったが、まだこちらの方が勝機を見いだせるように思える。


 先手番を落としての1勝2敗は非勢だが、後手番でのブレイクのチャンスは2度残されており、羽生名人が本来の将棋を指せば、充分防衛は可能であろう。
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人には見えないもの

2016-05-12 20:16:46 | いちご
 犬や猫など動物には、人には見えないものが見えるという。そう言えば、娘たちも乳児の頃は、時々、中空を見て笑っていたことがあったなあ。

 今日の昼ごろ、いちごが座って中空を見上げていた。
 何を見てるのかな?
 ……はっ、もしや!………何かいるのか?
 でも、これといった妖気は感じないぞ(いや、もともと私にはそんな能力はない)
 念のため、いちごの視線の延長線に目をやると………見えたぁぁ


 500円玉大の楕円形、黒光りする生物が! 
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2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その4」

2016-05-11 22:41:03 | 将棋
「その1」「その2」「その3」の続きです。

第3戦 対高野秀行六段戦

 後手・浦野八段の四間飛車穴熊に先手・高野六段が銀冠で対抗、相撲で言う“指し手争い”を先手がリードし、仕掛けも奏功した局面。
 図では飛車を走りたいところだが、△6六歩の取り込みも気になる。かと言って▲6五歩と手を戻すのも△6六歩の叩きが悩ましい。
 そこで、▲6五銀と銀で歩を払ったが、△4六角と打たれ、飛車取りと同時に飛車の走りも消されてしまった。これで逆転されたわけではないが、攻防の手を指されて、高野六段に後悔の念が湧いたのではなかろうか。
 それでも、6筋の嫌味を解消したことに満足して▲2九飛と冷静に辛抱。これに対し、浦野八段は△4四銀と銀を活用。桂取りと同時に5五への進出や5三の地点の強化と“味良し九段”(有吉九段…豊川流駄洒落)。
 先手は▲4七歩△3七角成▲2四飛と飛車の捌きを優先させる。ただ、ここ数手のやり取り、後手は手順に馬を作り銀を活用したのに対し、先手は▲2九飛は手損、▲4七歩も無駄使いに近い。さらに、△1三桂と逃げられてみると、先手の桂馬はすぐ取られそうなのに対し、後手の桂馬を取るのには手間がかかる。形勢はともかく、高野六段としては“損した気分”だろう。
 以下▲7七桂(あらかじめ△5五馬~△6五飛の狙いを消した手だが、疑問手)△4五銀(後手の桂得に)▲4一角△6二飛▲2三飛成(5三の地点を狙う。桂を逃げられてから2一に空成りはシャクかも)と進む。


 ここで△4二飛▲3二角成△7二飛が芸の細かい手順。まず、▲7四銀を牽制して△4二飛と角に当て、▲3二角成に△7二飛と、攻められそうな5筋から飛車を退避させた。


 以下▲3三馬△6四歩▲4四馬△3六馬▲2一飛成△6五歩▲同桂△8三金▲5三桂成(途中図)と進む。


 先手の高野六段は銀を取られる代わりに▲6五同桂と金当たりに跳ね出し▲5三桂成と成桂を作って後手の穴熊攻略を目指したが、ここまで銀桂損をしているので、たとえ成桂で飛車を取ったとしても飛車と銀桂桂の3枚換えに過ぎないし、本局の場合、5三の地点は急所から離れている。さらに、桂馬のいない銀冠は、8七の銀がほぼ無能状態。それどころか、切られる(取られる)対象となってしまう。見た目以上に弱体化しているのである。本局の場合、6七金が攻められ、5六に引きずり出されるか、△6七銀(角など)▲同金で、弱体化が進行する可能性が大である。

 ▲5三桂成以下は、多少疑問に感じる手もあるが、プロらしい細かい応酬を繰り広げる。△6二歩▲1一龍△4三歩▲同馬△3五馬▲6四香△7三金▲3六歩△同銀▲5四馬△4五銀▲3六歩△5四銀▲3五歩△4四角(決め手?図)。

 △4四角!……銀取りを放置して、龍成桂両取りを掛け返す。
 先手も▲1三龍と両取りを受けつつ香を取る。後手の予定通り△5五銀の進出に▲5四成桂と後手の角銀を攻める。
 通常はこれで困るが、△6六銀とかまわず進撃。角を取る▲4四成桂に△6七銀成。4三にいた銀が紆余曲折あって、ついに敵陣にトライ!
 ▲6七同金に△5五桂と絡みつかれて、彼我の玉の危険度に差があり過ぎて、先手の勝てない将棋となった。先手の囲いの弱点がもろに出てしまった。

 決め手?図では、▲7一飛成△同銀▲5四成桂で、まだまだこれからの将棋であった。
 また、決め手?図の△4四角では△5五銀とすべきだった。

 実戦は、△5五桂▲7七金△6七金▲7八銀△7七金▲同玉△6四香(投了図)

 香を取られながら、眠っていた後手の飛車金が目を覚ましてしまっては、先手の闘志も萎えたのだろう。
 投了図から▲8三桂も、一瞬気持ちいいが、△同銀▲同飛成は案外大したことはなく、後手に桂を渡すと△6五桂▲8八玉△6七桂成が生じる。

 浦野八段の中盤の細かい手順の組み合わせの巧みさが光った一局だった。
 終局時刻は22時53分。消費時間は▲高野4時間53分、△浦野5時間28分。

「その5」に続く。
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