みやこまで ひびきかよへる からことは なみのをすげて かぜぞひきける
都まで ひびきかよへる からことは 波の緒すげて 風ぞひきける
真静法師
都にまでその名が響き渡っているここ唐琴は、弦として張った波を風がはじいて弾いているのであった。
「唐琴」は地名で、0456 の物名歌にも登場しました。第四句の「すげ」は糸や紐などを穴に差し通して付ける意の他動詞「すぐ」の連用形。「唐琴」という地名からこれを楽器の琴と見なし、そこに波が弦として張られているという見立てですね。
真静法師(しんせいほふし)の歌が 0453 以来久々の登場。古今集への入集はこの2首です。