漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 063

2023-06-18 05:40:53 | 貫之集

滝のほとりに人来て見る

ながれよる たきのいとこそ よわからし ぬけとみだれて おつるしらたま

流れよる 滝の糸こそ 弱からし ぬけど乱れて 落つる白玉

 

滝のほとりに人が来て見ている

流れ寄せてくる滝の水が、糸を縒ったようになって下がっているが、その糸は弱いのであろう。しぶきを白玉のように貫いてもすぐに切れて白玉が落ちてしまう。

 

 第一句の「よる」は「寄る」と「縒る」の掛詞になっています。滝の流れを糸に、しぶきを白玉に見立てるのは常套手段。ここまでだけを見ても、033044052 にも見られる手法ですね。
 この歌は拾遺和歌集(巻八 「雑上」 第448番)にも入集しています。