滝のほとりに人来て見る
ながれよる たきのいとこそ よわからし ぬけとみだれて おつるしらたま
流れよる 滝の糸こそ 弱からし ぬけど乱れて 落つる白玉
滝のほとりに人が来て見ている
流れ寄せてくる滝の水が、糸を縒ったようになって下がっているが、その糸は弱いのであろう。しぶきを白玉のように貫いてもすぐに切れて白玉が落ちてしまう。
第一句の「よる」は「寄る」と「縒る」の掛詞になっています。滝の流れを糸に、しぶきを白玉に見立てるのは常套手段。ここまでだけを見ても、033、044、052 にも見られる手法ですね。
この歌は拾遺和歌集(巻八 「雑上」 第448番)にも入集しています。