漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 061

2023-06-16 04:58:11 | 貫之集

人の木のもとに立ちて、はるかなる桜の花を見たる

やまざくら よそにみるとて すがのねの ながきはるひを たちくらしつる

山桜 よそに見るとて 菅の根の 長き春日を 立ち暮らしつる

 

人が木の下に立って、遠くに咲いている桜の花を見ている

山桜を遠く眺めていたばかりに、長い春の一日をずっと木の下に立って過ごしてしまったよ。

 

 第二句の「よそ」は「余所」で、離れたところ、別のところの意。第三句「菅の根の」は、「長い」「乱る」にかかる枕詞です。