漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 072

2023-06-27 05:25:33 | 貫之集

みてのみや たちかくしてむ さくらばな ちるををしむに かひしなけれは

見てのみや 立ちかくしてむ 桜花 散るを惜しむに かひしなければ

 

ひとしきり見たらどこかに隠してしまおうか。桜の花は、放っておくと惜しむ甲斐もなく散ってしまうのだから。

 

 まあ、身も蓋もないことをあえて言えば、どこかに隠したところでやっぱり桜は散ってしまうわけですが、心情としてはとても良くわかりますね ^^

 

よのなかに たえてさくらの なかりせば はるのこころは のどけからまし

世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし


在原業平

(古今和歌集 巻第一 「春上」 第53番)