ももちどり こづたひちら さくらばな いづれのはるか きつつみざらむ
百千鳥 木づたひ散らす 桜花 いづれの春か きつつ見ざらむ
たくさんの鳥たちが木の枝をあちこち飛び回って桜を散らす。そんな光景を見ないようになるのはいつの年の春のことであろうか。
「百千鳥」は特定の鳥(「古今伝授三鳥」の一つで鶯のことと言われる)を指すこともありますが、ここでは「たくさんの鳥」の意。反語表現ですので「そんな春は来ない」、つまりいつの年の春も、多くの鳥が飛びまわって桜を散らすということで、それを嘆いての詠歌ですね。