女の菊の花見たるところ
おくしもの そめまがはせる きくのはな いづれをもとの いろとかはみむ
おく霜の 染めまがはせる 菊の花 いづれをもとの 色とかは見む
女が菊の花を見ているところ
菊の花に霜がおりて、紛らわしい色に染めたかのよう。どれをもともとの菊の花の色と見たら良いのだろうか。
菊というと黄色い花の印象が強いですが、ここで詠まれているのはもちろん白い菊ですね。百人一首(第29番)にも採録された著名な古今和歌(巻第五「秋歌下」 第277番)が思い出されます。
こころあてに をらばやをらむ はつしもの おきまどはせる しらぎくのはな
心あてに 折らばや折らむ 初霜の おきまどはせる 白菊の花
凡河内躬恒