漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 679

2025-02-23 04:47:51 | 貫之集

延喜十二年十二月、春立つ朝に、定方の左衛門督の、尚侍に、賀奉れるときの歌

ことしおひの にひくはまゆの からころも ちよをかけてぞ いはひそめける

今年生ひの 新桑繭の 唐衣 千代をかけてぞ いはひそめける

 

延喜住人(912年)十二月、立春の朝に、藤原定方左衛門督が、妹である尚侍に、誕生日のお祝いを宴を催したときの歌

今年生まれた新しい繭から作った衣を染めて差し上げ、本日を初めに千代までもお祝いいたします。

 

 「十二月」なのに「春立つ朝」ですから、年内に立春を迎えたということですね。古今集 0001 の歌が思い出されます。「定方の妹の尚侍」とは、藤原満子(ふじわら の みつこ)のこと。第五句の「そめ」は「染め」と「初め」の掛詞になっています。