山の紅葉しぐれたるところ
あしひきの やまかきくらし しぐるれど もみぢはなほぞ てりまさりける
あしひきの 山かきくらし しぐるれど 紅葉はなほぞ 照りまさりける
山の紅葉に時雨が降っているところ
山一帯が暗くなるほど時雨が降っているけれど、その時雨に色を深めて紅葉は一層照りはえてきたことよ。
「あしひきの」は「山」にかかる枕詞。時雨が葉を紅葉させると考えられていたことに基づく詠歌ですね。同様のモチーフの歌が 264 にも登場します。
もみぢばは てりてみゆれど あしひきの やまはくもりて しぐれこそふれ
もみぢ葉は 照りて見ゆれど あしひきの 山はくもりて しぐれこそ降れ