漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 325

2024-03-06 06:01:49 | 貫之集

馬に乗りたる男ども、古里とおぼしきところにうちよりて、桜を折る

ふるさとに さけるものから さくらばな いろはすこしも あれずぞありける

古里に 咲けるものから 桜花 色はすこしも あれずぞありける

 

馬に乗った男たちが、以前来たことがあると思われる場所に寄って、桜を折っている

以前にいて、今は荒廃してしまった里にもかかわらず、桜の花は少しも荒涼とした感じにならずにいたのであるなあ。

 

 「ふるさと」には ①かつての都 ②もといた場所、住んでいたところ ③生まれ故郷 の3つの意味がありますがここでは②で、しかも今は荒れ果ててしまった場所として詠まれています。類歌は 426427 にも見られ、また著名な 790 も類似の発想ですね。

 

ひとはいさ こころはしらず ふるさとの はなぞむかしの かににほひける

人はいさ 心は知らず 古里の 花ぞむかしの 香に匂ひける

(790)

 



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