男あまた池のほとりの藤を見る
まつがえに さきてかかれる ふぢなみを いまはまつやま こすかとぞみる
松が枝に 咲きてかかれる 藤波を いまは松山 越すかとぞ見る
大勢の男たちが池のほとりの藤を見ている
松の枝にかかっている藤の花を見ると、藤波が末の松山を越えようとしているかのように見える。
「末の松山を波が越える」は、ありえないことの象徴としてしばしば歌に詠まれます。清原元輔(きよはら の もとすけ)の詠んだ百人一首採録(第42番)の歌がつとに著名ですね。
ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは
ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは
(後拾遺和歌集 巻第十四「恋四」 第770番)