漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 326

2024-03-07 05:26:05 | 貫之集

男あまた池のほとりの藤を見る

まつがえに さきてかかれる ふぢなみを いまはまつやま こすかとぞみる

松が枝に 咲きてかかれる 藤波を いまは松山 越すかとぞ見る

 

大勢の男たちが池のほとりの藤を見ている

松の枝にかかっている藤の花を見ると、藤波が末の松山を越えようとしているかのように見える。

 

 「末の松山を波が越える」は、ありえないことの象徴としてしばしば歌に詠まれます。清原元輔(きよはら の もとすけ)の詠んだ百人一首採録(第42番)の歌がつとに著名ですね。

 

ちぎりきな かたみにそでを しぼりつつ すゑのまつやま なみこさじとは

ちぎりきな かたみに袖を しぼりつつ 末の松山 波こさじとは

(後拾遺和歌集 巻第十四「恋四」 第770番)



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