さみだれに ものおもひをれば ほととぎす よふかくなきて いづちゆくらむ
五月雨に もの思ひをれば ほととぎす 夜深く鳴きて いづちゆくらむ
紀友則
五月雨が降る中に物思いしていると、夜中にほととぎすが鳴いた。一体どこへ行くのだろうか。
雨の降る夜中に物思いにふける鬱々とした気分の作者。そこに、懐旧や思慕の情をかきたてると言われるほととぎすの声が聞こえてくるという情景。歌合せの場で詠まれたものですので、おそらくは実体験ではなく想像の作ですが、歌われた場面が目に浮かび、鑑賞者までも切ない気持ちにさせる感がありますね。
一日一首の古今和歌集を始めてちょうど5カ月。明日からは新年度ですね。また新たな気持ちで続けていきたいと思います。よろしくお付き合いください。