北の風に吹かれて~独り漫遊記~

町歩きを中心に、日々の出来事を綴ります。 
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榎本ゆかりの地

2015-08-29 19:14:31 | 函館



五稜郭からほど近い、函館の梁川(やながわ)町という町にある、「梁川公園」という公園。
(地図)








ご覧の通り、ごく普通の、市民の憩いの場という風景が広がっています。





そんな公園の一角にあるのが、箱館戦争のさ中「蝦夷共和国」の総裁として旧幕府軍を統率し、翌年新政府軍に降伏、投獄された後、開拓使として北海道の発展に尽力した、かの榎本武揚の像。
先日、友人との間で、何故ここに、榎本の像があるのだろうということが話題になった。
友人は、函館市には、榎本武揚に因む「榎本町」という町があるのに、そこではなくここにあることが不思議だったらしい。

ということで調べてみると、榎本武揚は「梁川」と書いて「りょうせん」と読む雅号(文筆家、画家、学者などが、本名以外に用いる風雅・風流な名前)を有していて、梁川町という町名自体、それに由来するものなのだという。
この「梁川」とは、榎本の出生地である、江戸下谷御徒町柳川横町(現在の東京都台東区浅草橋付近)に由来するものだそうだが、「柳川」では柳川鍋に通ずるため、「梁川」としたとされているとのことなのだという。

この像は、市民の有志による「榎本武揚を顕彰する会」が功績を知ってもらおうと建立を市に提案し、許可を受けて、2012年9月に設置されています。(その際の新聞記事)





なるほどそれはわかった。
では、もう一つの「榎本町」とは、どういう由来があるのだろうか。

この榎本町は、有名な湯の川温泉の近くにあり、箱館戦争当時、台場が築かれ、野戦病院も設けられていたのだが、戦争のさ中に、榎本が温泉を訪れて、
「この温泉を百尺(約30メートル)ほど掘り下げたら必ず熱い湯が多量に出るだろう」
と語ったと言われている。
この、いわば「予言」とも取れる一言が、今日に至る湯の川温泉の繁栄に繋がっているとして、そんな榎本の功績を記念して、温泉街の北隣、箱館戦争の際に野戦病院がおかれた一帯が、「榎本町」と名付けられて、今に至っている、そういう歴史があるのだそうです。

(写真のバス停のあたりの地図)

なるほどね。
七年前に函館に来た時、「榎本町」というのが榎本武揚に由来する町であることはすぐに想像がついたけど、この他にも榎本に由来する町があるということは、最初の公園の像について調べるまで、知りませんでした。
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降伏の地

2015-08-29 08:21:15 | 函館
函館にある大きな神社はこれまで幾つか紹介し、「函館八幡宮」についても何度か書いてきたけれど、函館にはもう一つ、有名な「八幡宮」があります。
職場からも近いんだけど、今までずっと、行ってみようと思い続けながらも行っていなかったので、ここでご紹介します。








それが、この「亀田八幡宮」。
函館八幡宮に次ぎ、毎年函館で二番目に多くの参拝客が集まる場所です。





1390年、越前国敦賀郡気比神宮(センバツ高校野球で優勝した、あの高校のある場所ですね)より、八幡大神の御分霊をこの地に奉遷したのが起源とされている歴史ある神宮で、旧松前藩の祈願所に定められて信仰を集め、1847年に建立された鳥居には、松前藩最後の箱館奉行だった、工藤茂五郎の名が刻まれています。





社殿。
普通の日曜日だったので誰もいなかったけれど、お正月にはかなりの賑わいとなっているそうです。





でもって、実はここからが本題。
この神宮で強調したかったのは、歴史でも社殿でもなく、実はこの「旧拝殿」なのです。
どういう場所かと言うと・・・、





「箱館戦争降伏式之地」とあります。





1869年(明治2年)5月17日、新政府軍との戦いの末、旧幕府軍の重鎮であった榎本武揚、大鳥圭介らが、新政府軍の黒田清隆らと、降伏の誓書を旧拝殿に奉納し、翌18日、榎本らが、誓書の実行箇条に従って新政府軍に出頭し、降伏の調印がなされるに至ったという事実が残されているこの場所は、碑文にもあるとおり、箱館戦争(戊辰戦争)が終結し、新政府による国内統治が始まる起源となった場所ということで、「近代日本の幕開けの地」ということになるのです。





そして、最後に紹介したいのが、旧拝殿のそこかしこに見られる無数の穴。
これ、何かと言うと、この地で旧幕府軍と新政府軍との戦いが繰り広げられた際についた、弾痕なのです。








穴の形が綺麗な物は弾痕ではない物もあるのかもしれませんが、それにしても、結構な数の弾痕が残されています。
実際近くで見てみると、なかなかの衝撃でした。
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