函館市内にある、国有林の敷地内に生息しているマツの木。
道内、とりわけアカマツやクロマツが多く生育している函館では、毎年このように、木の幹に何やら巻き付けている姿が見られます。
巻き付けられているのは、藁を用いた「菰(こも)」という莚(むしろ)のことで、何のために行われているかというと、冬期間の害虫駆除が大きな目的です。
「マツカレハ」という、アカマツ、クロマツ、カラマツなどを食害する昆虫がいるのですが、その幼虫は、毎年10月下旬頃になると、樹幹から根際などの狭い場所に潜伏して越冬する習性があることから、この習性を利用し、菰(こも)をマツの幹に巻き付て呼び寄せ、春に取り外して菰ごと焼却処分する防除法として、古くは江戸時代から大名庭園などで行われてきた害虫駆除法だそうです。
暖かい地方では見られない光景で、函館では冬の風物詩の一つになっています。
現場はこちら。
この、細長い形で木が生い茂っている場所が、林野庁が管理している「五稜郭風致・保健保安林」と呼ばれる場所で、歴史あるアカマツ並木の景観と保健休養の場として広く親しまれており、町内会や有志による植樹や清掃活動、社会貢献の森としての林内整備なども行われています。
特別史跡五稜郭跡からも近く、五稜郭城が築城された頃、城郭を隠す目的で、五稜郭の裏一帯に、函館の隣の七飯町で育てたアカマツを植栽したとされていて、住宅地として開発された中のこの細長い部分が、国有林として管理し続けられています。