西区宮の沢にある、石屋製菓の「白い恋人パーク」。
その入り口付近にある石造りの建物に注目しました。
お、カレーレストランですか。
なかなか魅力的なメニューが揃っているようですねえ・・・。
では早速・・・と行きたいところですが、残念ながら、今回はこのお店のレポではありません。
レストランと繋がっている施設として、チョコレートに関する映像が公開されている施設もあるようです。
ここもまた、いずれ機会を作って行ってみようと思います。
えっ、じゃあ何しに行ったのって?
実はこれに注目していました。
この建物は、これまでにも何度か紹介してきた「札幌軟石」によって造られているのですが、単に札幌軟石を用いているというだけでなく、以前は別な場所にあったものを、この場所に移築してきたという経緯があるそうです。
いよいよやってきた冬本番。
可愛い雪ダルマが道内外からのお客さんを出迎えるこの建物に、どんな歴史があるのでしょうか。
この建物は、明治44年(1911年)に、札幌市中央区で、「遠藤醸造所」の事務所として建造されたものでした。
「遠藤醸造所」は、明治後期から昭和初期にかけて、札幌でも有数の醸造業者として名を馳せ、事務所の他にも、住宅やレンガ造りの立派な建物が多く建っていましたが、昭和56年(1981年)、市街地再開発の流れで高層住宅が建築されるに当たり、事務所以外の建物は全て撤去されてしまいました。
もっとも、この事務所の建物は、その三年前に、業態を変えてレストランとして営業を始めていましたが、そのレストランも、平成2年(1990年)3月に廃業していました。
これを受けて、由緒あるこの建物の保存を要望する市民運動が持ち上がり、石屋製菓が引き取り先として手を挙げたことから、同年8月に解体工事が始まり、平成7年(1995年)に現在の形で復元され、今に至っているということだそうです。
この建物は、「さっぽろ・ふるさと文化百選」にも選定されており、現在のレストラン名である「あんとるぽー」というのも、平成2年の廃業当時の名前をそのまま受け継いでいます。
古い住宅地図と照合すると、このアパートの建っている位置が、当時の「遠藤醸造所」の敷地でした。
以前、新渡戸稲造が開設した「遠友夜学校」の跡地について紹介しましたが、この場所は、その跡地の向かい。
その跡地を紹介したときは、向かいにも歴史あるスポットがあったことは知りませんでした。
意外とこういうケースって多いんだろうなあと思います。
最後にオマケ。
冒頭のカレーレストラン「あんとるぽー」さんは、後日改めて行こうと思いますが、せっかく「白い恋人パーク」に寄ったので、ソフトクリームだけ食べてきました。
いつもはバニラかミルクが多いけど、たまにはと思って、チョコレート味の「ブラック」をオーダー。
たまにはこっちもいいかなと思いました。
今日も大変お疲れ様でした。
あんとるぽー館を閉めてから
石屋製菓に移築、保存が叶いました。
貴重な札幌軟石の建物が大好きです。
建物移築から足を踏み入れるまで
随分長い時間がかかりました。
里子に出したような後ろめたさも
ありました。
威風堂々と建つ姿を見て胸熱くなります。
有難うございました。
こんにちは。
以前伺ったお話を基に調べてみましたが、なるほど、里子に出すような後ろめたさですか。
私はそういう経験はないですが、分かる気がします。
今もこうして立派に建ち、人気となっているようですが、過去の歴史について触れる表示板があってもいいのかなと思いました。