monologue
夜明けに向けて
 



 アメリカンアイドルシーズン8の決勝第二ラウンドでアメリカンアイドルの番組プロデューサーのサイモン・フラーがアダム・ランバートに与えた課題曲はサム・クックの A Change is Gonna Come であった。決勝が終わり優勝を逃したアダムはこれまで知らなかったこの曲を課題曲 として歌えたことに感謝していた。

 この歌唱によってわたしの記憶はふと高校時代にタイムスリップした。あの頃、米国のトップ40に入ってくるサム・クックの曲ワンダフル・ワールド、シェイク、ユー・センド・ミー やアニマルズがカバーしたブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー などがお気に入りで大好きな黒人シンガーだった。

 サム・クックは、音楽出版社やSARレコードを設立して黒人アーティストも著作権を管理するということを始めた先進的なアーティストだった。人種平等社会の到来を願って公民権運動の象徴歌風に吹かれて A Change is Gonna Come を歌ったのである。


ところが、そのサム・クックが1964年12月11日、ロサンゼルスのハシエンダモーテル( Hacienda Motel)で管理人バーサ・フランクリン(Bertha Franklin)に射殺された、というニュースが流れた。まだ33歳。どうして撃たれたのかよくわからなかったけれどそのニュースは衝撃的だった。アダムの歌唱はわたしにとってのアイドル、サム・クック射殺の報を聞いた頃に時を巻き戻してくれた。そして高校時代にはとても気付かなかったある疑念が胸にわいてきたのである。
fumio

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