「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

畠山鈴香被告の 心の真相 (2)

2009年03月24日 20時46分36秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
(前の記事からの続き)

 鈴香被告の 近所の人たちの話では、 彩香ちゃんが 汚い服装をさせられ、

 泣きながら出てきて 学校へ行く姿を よく見かけたそうです。

 けれども 彩香ちゃんの帰りが遅いときは、

 畠山被告は心配して 迎えに行ったり、

 普通の親子関係だったと 言う人もいます。

 被告の同級生は、 被告が夜、 彩香ちゃんを一人残して 買い物に行ったり、

 一緒に寝ていて 触られるのが嫌だと言っていた、 とも話しています。

 反対に 彩香ちゃんの友だちも 一緒に誘って、

 公園で遊んだりすることも あったというのです。

 こうした相反する態度を、 長谷川教授は 「分裂」 と説明しています。

 自分や他人を 全く正反対のものとして 受け取る,

 心のコンディションも 両極端になってしまう,

 子どももプラスに見えたり マイナスに見えたりするわけです。

 被告が 父親から受けた虐待が、

 分裂を引き起こす 原因のひとつだと 考えられます。

 親の機嫌によって 子どもの心のコンディションが 振れてしまう、

 成人してからも 刺激によって どちらかに振れる現象を 起こすのです。

 この極端な性質は、 「言語連想検査」 という 心理検査にも現れました。

 ある単語に対して 被験者は連想する言葉を、 できるだけ早く答えます。

 200の単語について これが繰り返され、

 被験者は思考が乱されて、 深層心理が現れるというものです。

(関連記事「ユングの連想実験」:
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/24115652.html )

 畠山被告の検査結果は、 母親や病院を 肯定的に捉える一方、

 父親や異性に 否定的な連想が出てきました。

 彩香ちゃんに対しても 両極の気持ちがあり、

 負の気持ちが出たときは 正の気持ちがなくなってしまいます。

 そして、 娘の死という 戦慄的なできごとのあとに 解離性健忘が起こり、

 そのときの記憶を 失ってしまったのです。

 健忘については、

 被告を以前から診ていた 診療所の医師は 演技であると言い、 また、

 被告は他にも 重大な記憶が飛んでいたことがあると 証言する親戚もいます。

(次の記事に続く)
 
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