ランディ・クリーガーさんの本によると、 ボーダーの原因は
今アメリカの 最先端の研究では、
生育歴の影響よりも 先天的な要素のほうが 多くを占めると言われています。
生まれついての 生物学的な要因は、 誰のせいでもありません。
また心子は、 出産時に 足に障害を受け、
親が抱くことを 医者から禁じられたため、
親のスキンシップ (=赤ん坊にとっての 根源的な愛情) を
得られなかったことが、
その後の ボーダーの起因になったのだろうと思います。
子どもは 親から無条件に抱かれ 愛されることによって、
自分は この世に存在していいんだ,
自分は大切な 存在なんだということを、 無意識のうちに育んでいきます。
生後1年間の 赤ん坊にとって 最も不可欠な時期に、
適切な愛情が 与えられなかったというのは、
致命的な 欠損だったのではないでしょうか。
以上のように、 心子の 心の障害の原因は 誰の責任でもありません。
そして、 心子が旅立っていった理由。
まず、 亡くなる3~4ヶ月前から 心身の症状が悪くなり、
働くこともままならず、 希望をなくしかけていました。
それから、 心子は主治医の先生に
陽性転移 (治療者に恋愛感情を抱く) を起こし、
当然やむを得ないことながら、 それを 先生に受け入れられられず、
大きな苦しみになりました。
旅立ちの前日には、 バイトを辞めたいと 支店長に電話し、
支店長から 長時間にわたって “叱咤激励” されました。
あるいは、 それが一番直接の 引き金になったかもしれません。
そして今回 あらたに分かった新事実は、
数日前に 心子は清志に求婚し、 清志に辞退されていたということです。
( 求婚自体は突発的なことで、
恐らく 強い決意によるものではなかったでしょう。
清志は 心子から逃げたのだと 言っていましたが。 )
それらは確かに、 全て旅立ちの 「きっかけ」 にはなったでしょう。
でも本当の 「原因」 は、 彼女の 心の中の障害です。
誰も 自分を責める 必要はないのです。
清志が この先もずっと 重荷を背負っていくことを、
心子も決して 望んではいないでしょう。
心子は 我々が平安に生きていくことを 願っているはずです。
僕はそれを 清志に伝えたかったのでした。