「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心子の 旅立ちの理由

2009年03月30日 19時06分41秒 | 心子、もろもろ
 
 ランディ・クリーガーさんの本によると、 ボーダーの原因は

 今アメリカの 最先端の研究では、

 生育歴の影響よりも 先天的な要素のほうが 多くを占めると言われています。

 生まれついての 生物学的な要因は、 誰のせいでもありません。

 また心子は、 出産時に 足に障害を受け、

 親が抱くことを 医者から禁じられたため、

 親のスキンシップ (=赤ん坊にとっての 根源的な愛情) を

 得られなかったことが、

 その後の ボーダーの起因になったのだろうと思います。

 子どもは 親から無条件に抱かれ 愛されることによって、

 自分は この世に存在していいんだ,

 自分は大切な 存在なんだということを、 無意識のうちに育んでいきます。

 生後1年間の 赤ん坊にとって 最も不可欠な時期に、

 適切な愛情が 与えられなかったというのは、

 致命的な 欠損だったのではないでしょうか。

 以上のように、 心子の 心の障害の原因は 誰の責任でもありません。

 そして、 心子が旅立っていった理由。

 まず、 亡くなる3~4ヶ月前から 心身の症状が悪くなり、

 働くこともままならず、 希望をなくしかけていました。

 それから、 心子は主治医の先生に

 陽性転移 (治療者に恋愛感情を抱く) を起こし、

 当然やむを得ないことながら、 それを 先生に受け入れられられず、

 大きな苦しみになりました。

 旅立ちの前日には、 バイトを辞めたいと 支店長に電話し、

 支店長から 長時間にわたって “叱咤激励” されました。

 あるいは、 それが一番直接の 引き金になったかもしれません。

 そして今回 あらたに分かった新事実は、

 数日前に 心子は清志に求婚し、 清志に辞退されていたということです。

( 求婚自体は突発的なことで、

 恐らく 強い決意によるものではなかったでしょう。

 清志は 心子から逃げたのだと 言っていましたが。 )

 それらは確かに、 全て旅立ちの  「きっかけ」 にはなったでしょう。

 でも本当の 「原因」 は、 彼女の 心の中の障害です。

 誰も 自分を責める 必要はないのです。

 清志が この先もずっと 重荷を背負っていくことを、

 心子も決して 望んではいないでしょう。

 心子は 我々が平安に生きていくことを 願っているはずです。

 僕はそれを 清志に伝えたかったのでした。
 
コメント (2)
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