「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

畠山鈴香被告の 心の真相 (3)

2009年03月25日 14時26分37秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
(前の記事からの続き)

 長谷川教授は、

 捜査段階の供述には 被告の想像が加わっていて、 信用できないとします。

 心理検査でも、

 被告は 暗示に従って それを信じやすいという 結果が出ています。

 捜査員の誘導によって、

 覚えていない事実を 作り上げられてしまったというのです。

 彩香ちゃん殺害現場とされる 大沢橋ですが、

 その場所自体が 疑わしくなっています。

 地元の人たちも、 彩香ちゃんの遺体の状況などから、

 大沢橋に 疑問を持っています。

 捜査がずさんだったことが 指摘されています。


 教授は特別な方法で、 事件時の 被告の失われた記憶を

 断片的に呼び起こしました。

 接見を重ねるうち、 被告は震えながら、 幾つかの映像を 思い出しました。

 道路と橋の間の隙間, しゃがんでいる彩香ちゃん,

 (彩香ちゃんが持っていた) ピカチュー,

 そして、 「落ちて行った」。

 そのとき 被告の目から涙が流れ、 呼吸が荒くなり、

 自分の右手が見えた ということです。

 彩香ちゃんがピカチューを落とし、 それをつかもうとして、

 ガードレールの隙間から 誤って落ちたというのでしょうか? 

 被告が見た 自分の右手は、 彩香ちゃんを助けようとしたのか、

 突き落とそうとしたのか、 今の段階では分かりません。

 教授は、 自分の中で想像した ストーリーや希望, 願望、

 様々なものが バイアスとして入ってきた、

 一連の映像が 事実かどうかは 検証しないといけないと言います。

 それに、 思い出していない部分も あるのです。

 長谷川教授は 捜査段階の供述を 疑うべきとしましたが、

 その鑑定は 検察側の不同意で 採用されなかったということでした。


 人の心の真相の 不可思議さ。

 裁判員制度を控え、 我々は 真実を見極める難しさを

 改めて考えなければならないかもしれません。

(次の記事に続く)
 
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