セーレム「魔女裁判」
「脱原発」に向けた政府の茶番――真のエネルギー政策論議を喚起せよ!
関西電力は7月5日、大飯原発3号機の発電を開始し、送電を始めました。
9日にもフル稼働に到達し、それによって8月の関電管内のピーク時における電力不足は14.9%から9.2%へ縮小する見込みです。
3号機のフル稼働により、関電管内は2010年夏に比べた節電目標を15%から10%に引き下げますが、依然、綱渡り状態は続きます。需給が厳しい九州は10%、四国と北海道も7%の目標をそれぞれ維持します。(7/7 中国新聞⇒http://goo.gl/dKOJg)
そのような中、大飯原発の再稼働に反対する抗議活動が、6月末から7月にかけての金曜日に首相官邸前で行われてきました。
特に、再稼働直前の6月29日には抗議行動を激化させ、官邸前から霞が関への車道が人で埋め尽くされました(主催者発表は20万人、警視庁発表は約1万7000人)。
以前より、虎視眈々と日本から国防の要となる原子力エネルギーを排除しようとして来た左翼勢力は、菅前首相の「脱原発」路線に乗じた形で日本の世論を乗っ取り、「全原発廃止」に追い込もうとしているのです。
こうした「脱原発の空気」に対して、京都大学原子炉実験所・山名元教授は「『原子力性悪説』を前提としたメディア報道など、正当な議論を排除するような『異常な言論空間』が形成されてしまっている」と警鐘を鳴らしています。(6/15 産経「原発『不信と否定の空気』変えよ」⇒http://goo.gl/FE9aI)
エネルギー政策は国家を支える基盤です。しかし、今の日本は、「魔女狩り」的な感情的な原発への「不信と否定の空気」の中で、政治においても、マスコミや言論においても、冷静なエネルギー政策論議がなされていません。
幸福実現党が主張して来たように、「脱原発」は
(1)電気料金の大幅な値上げ、
(2)電力供給の不安定化・脆弱化、
(3)産業の国外移転の加速、
(4)GDPの減少と失業者の増大、
(5)エネルギー安全保障の崩壊等
をもたらしますが、こうしたことがほとんど議論されていません。
こうした中、政府の「エネルギー・環境会議」が6月29日に、今後の原発政策について、2030年のエネルギー・環境に関する「3つの選択肢」(原発依存度を基準に、(1)原発ゼロシナリオ、(2)原発15%シナリオ、(3)原発20〜25%シナリオ)を取りまとめました。⇒http://goo.gl/qXUad
議事録を調べると、元々選択肢にあった原発依存度「35%」の案は、5月28日の案までは残っているのですが、6月5日以降は消されています。「脱原発依存を掲げる政府方針と合わない」という理由で、大勢を占める左翼系の委員が強く反対したことが原因です。
国民の意見を聞く前に、原発を維持・増強していく選択肢自体を消したことは大問題であり、「脱原発ありき」の茶番劇であることを露呈しています。
その結果、いずれのシナリオを選んだとしても、原発の発電減少分を再生可能エネルギーで補っているため、発電コストが14.1円/kWh〜15.1円/kWhと大幅に膨らみます(参考:8.6円/kWh(2010年))。
また、地球環境産業技術研究機構(RITE)の試算によれば、上記シナリオの場合、GDPは自然対比(原発維持した場合との比較)28〜45兆円も減少する見込みです。
また、いずれのシナリオも、実質経済成長率を2010年代は1.1%、2020年代は0.8%と低成長を前提としており、その結果、節電も1割も進むとしています。
これは大問題であり、経済成長率が仮定を上回った場合、電力不足が発生することを意味します。電源の開発は10年も20年もかかりますので、経済成長が起きてから建設を始めても手遅れになります。
また、この選択肢では、エネルギーの補給路が有事の際に絶たれる可能性をほとんど想定していません。「エネルギー安全保障」という国家の最重要事項を考慮していない欠陥シナリオであることは明白です。
国家戦略室は、この「3つの選択肢」について、年7月2日から7月31日までの間、意見(パブリックコメント)を募集するとしています。(募集要項⇒http://goo.gl/4DkBh、パブリックコメント投稿フォーム⇒http://goo.gl/KkbPU)
国民からのパブリックコメントを元に、エネルギー・環境会議が8月に2030年までのエネルギー政策を定める「革新的エネルギー・環境戦略」を答申し、政府が最終決定する予定です。
この選択が、2030年までの日本のエネルギー政策を決定します。エネルギー政策の選択を誤れば日本の没落は避けられません。
私たち国民は、政府が誤った選択をしないよう、しっかりと意見を伝えていく必要があります。(文責・佐々木勝浩)
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