一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

カポーティ『冷血』

2007-04-10 | 乱読日記
先日とり上げた映画『カポーティ』のテーマになった小説『冷血』を読みました。

実際の本は、(作者自身が「ノンフィクション・ノベル」と言っているように)綿密な取材を元に、作者の想像力や構成力を生かした広がりと奥行きのある完成度の高いものでした。
当時のアメリカ、特に事件のおきたカンザスでの生活や人々の考え方とそれに与えたこの事件のインパクト、犯人二人の生い立ちや犯行から逮捕に至るまでの心の軌跡などを生き生きと描いています。

映画では、カポーティと犯人のひとりであるペリー・スミスとの交流が軸になっていて、「犯人への独占インタビューできる地位を手にした小説家の葛藤」というちょっと薄っぺらな感じもしていました。
アメリカではどういう評価だったのでしょうか(名作とはいえ1960年代の小説なので名前は聞いたことがあっても読んだことのある人は少ないのかな)。


解説によると、カポーティは自らを「ヤク中でアル中でホモの天才」と公言していたそうです。
映画では「ホモのベストセラー作家」という焦点の当て方をしていましたが、本書を読むと「天才」の部分はよくわかります。

コメント
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