一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

野球特待生制度の何が問題か?

2007-04-27 | 余計なひとこと

高校野球の特待生制度禁止が議論を呼んでいます。  

そもそも特待生制度は日本学生野球憲章に違反するというのが理由のようです。  

第13条 
選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は部員であることを理由として支給され又は貸与されるものと認められる学費、生活費その他の金品を受けることができない。但し、日本学生野球協会審査室は、本憲章の趣旨に背馳しない限り、日本オリンピック委員会から支給され又は貸与されるものにつき、これを承認することができる。  

(2) 選手又は部員は、いかなる名義によるものであつても、職業野球団その他のものから、 これらとの入団、雇傭その他の契約により、又はその締結を条件として契約金、若しくはこれに準ずるものの前渡し、その他の金品の支給、若しくは貸与を受け、又はその他の利益を受けることができない。

憲章の13条2項は、優秀な高校生の獲得には多額の金銭が動くから、というどちらかというとプロ野球界側の事情に起因する問題です。  
13条1項はまさに特待生制度の問題で、「経済的利益を供与することで学生を集める学校」の存在を念頭においている規定です。

逆に言えば、野球で活躍することが他の競技より学校のPR効果が高い(進学校のPRには東大合格者数を増やすのが有効なのと同じ)のということを、高校野球連盟が自覚しているわけですよね。  


ところで学校間の競争(最近流行の言葉で言えば「格差是正」)という切り口で考えてみると、ちょっと違った見方ができるように思います。  

歴史の浅い高校が優秀な学生を集めるには、スポーツや大学受験で実績を上げなければならず、そのためには、はじめのうちは特待生などの形で生徒を集める必要があります。 
これを一律禁止してしまうと、学校間のランクを固定化することにつながらないでしょうか。まずは優秀な教師を集める、という考えもありますが、(普通は『ドラゴン桜』のような)即効性はないでしょうし生徒でなく優秀な教師は金で釣ってもいいのか、という議論もあると思います。  

また、能力がありながら経済的な理由で能力を伸ばせる学校に進学できない生徒を助ける、という意味でも特待生制度は格差是正に役立っているように思います。  


なので、ひとつの考え方としては、特待生制度を禁止するのでなく、野球で実績を上げてもPR効果が出ないようにして、学校間の過剰な生徒獲得競争を防止するという選択肢もあります。
その一番有効な方策は高校野球を金にならないものにしてしまう、つまり   

甲子園大会をやめてしまう

ということではないでしょうか。 

甲子園でなくても、インターハイとかと一緒に各地を回ってやればいいわけです。

しかし、この議論が(当然といっていいくらい)出ません。それはマスコミにとっては、甲子園大会は特にお盆のニュースのない時期の貴重なコンテンツであること、高校野球連盟にとっても大きな収入源であり、団体としての存在感(役員の利権?)の源だからでしょう。
つまり現在の高校野球からメリットを得ている人たちの誰の得にもならないことは誰も言い出さない、ということですね。  

こう考えてみると、学生野球憲章特に13条は、学校間の高校野球をめぐる業界内の競争ルールであり、それがために現在の有力者(たとえば特待生制度がなくても学生が集まるような名門校)に有利で、甲子園大会や大学野球などの既存のしくみを維持しようという性格をもつのは仕方がないともいえます。そして、それは当然、アウトサイダーには厳しくなります。  

これは高校野球に限らずそうです。
たとえば
IOC ドーピング違反6選手を追放
(2007年4月26日(木)06:13 スポーツニッポン)

なども、競技の公正さをアピールすることで(IOC委員の特権への批判をかわしながら)自らの正当性を維持するための行為といえます(メダルに関係ない選手の方が処分が厳しいように感じるのは私だけでしょうか)。  


この問題は本来、①「学校間の公正な競争」という見地からは、一律禁止でなく度を越したものを禁止とすべきであり、②「金品による汚染の防止」という見地からは、そもそも金品の供与の元になる収益構造を廃止すべき、という切り口で整理すべきものだと思います。 
ところが「特待生制度の一律禁止」という規約を字義通りに適用した(ねじれた)対応をしてしまったので、軋轢が生じているのではないでしょうか。 

これを機に、新設校が逆襲(逆切れ?)をして、学校間の競争と学校経営に与える高校野球の影響の大きさ(またはその是非)が問われると面白いとは思うのですが、そうはならないだろうなぁ・・・

コメント
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