一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

決算見込みの記事

2007-04-20 | あきなひ
決算発表の直前になると、新聞(特に日経)に企業の業績見込みの記事がスクープ風に載ります。

社長交代とかM&Aとか業務提携のように、情報管理をかいくぐって綿密な取材によって書かれた記事なら報道機関としては意味のあることで、企業としても「困るけど仕方ない」と思わざるを得ないのですが、四半期決算になり、業績予想も大きな変動があった場合には適時開示が求められる中で、決算数字を一刻を争って書くことの意義はよくわかりません。


決算数字は経理部門と役員と監査法人くらいしか知らないはずで、企業からのリークだとすると監査前の数字をもらすのは問題ですし、逆に記者の推測記事の場合も含めて「風説の流布」にならないのかな、とちょいと疑問です。

最近は記者の方も強引で、ノーコメントを貫く取材相手に自分の予測数字を見せて、「これで書いていいですよね」などと迫ったりするそうです。


それを聞いて思い出したのが(かなり前の話ですが)「ロス疑惑」事件での加熱する報道についての(多分天野祐吉さんの)エッセイ。

TVを見ていたら、あるワイドショーのレポーターが、三浦氏の家の塀越しに身を乗り出して、声をかけても無視する三浦氏に対してフリップを示して「どれか指差してください」と叫んでいたそうです。
そのフリップには
 ① 私は妻を殺すよう依頼した
 ② 私は妻を殺す依頼はしていない
 ③ 今は何もいえない
とあったそうです。

そのエッセイでは、レポーターの突撃取材の姿勢と、選択肢③のギャップ(=③を想定しているなら突撃の意味はどこにある?)を突っ込んでいたのですが、上の記者の取材も、回答が③でしかないのに無理やり①に誘導しようというもので、考えようによってはこのワイドショーのレポーターより性質が悪いですよね。


「他紙に抜かれてはいけない」とか「何か話題になることを書かないといけない」という動機付けが前面に出ているのだとすると、ちょいと危ない方向に向かっているのかもしれません。

コメント
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