一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『それでもボクはやってない』

2008-05-08 | キネマ
これも公開当初から話題だったのですが観る機会がありませんでした。


痴漢冤罪を告発する、というような映画かと思っていたのですが、現実の取調べや刑事裁判の実態を丹念に取材して、冷静で完成度の高いシナリオになっています。

痴漢は、日常的には良く起きる(らしい)比較的微罪であること、被害者が加害者を特定しにくいこと、一方で性的犯罪であり被害者への影響が大きく加害者に同情の余地が少ないことなどから、被害者・加害者だけでなく警察・検察・弁護士・裁判所や周囲の関係者の独自なスタンス(「早く認めて罰金刑で済ませたほうが楽だぞ」「冤罪を主張しているけどホントはやってるんじゃないか」「正直言えばこんな小さい事件にかかずらわりたくはないんだ」)が形成されていることが描かれています。
「日本の裁判制度の問題点」を云々という解説がありましたが、問題はもうちょっと複雑だと思います。

シナリオ上は「冤罪」という切り口からなので検察官や裁判官は悪者風に描かれていますが、たとえばこれを検察官や裁判官の視点から見た別バージョンがあっても面白いのではないかと思いました。




コメント
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