一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

週刊ダイヤモンド「特集 弁護士大激変!」

2009-09-02 | 乱読日記
遅ればせながら先週号の週刊ダイヤモンド(8/29号)の「特集 弁護士大激変!」について。

冒頭、過払い利息返還が弁護士の一大収益源になっている実態が取り上げられてます。
中には多重債務に苦しむ債務者に「融資します」といいながら自らは融資せず闇金を紹介して紹介料を取る「紹介屋」が、闇金を紹介する代わりに「過払い利息を返してもらえますよ」と弁護士を紹介して、紹介した弁護士報酬からキックバックを受ける(これ自体営利目的の法律事務の周旋なので弁護士法72条違反です。)というような実態があるそうです。

過払い訴訟をビジネスチャンスととらえるのか、社会正義の実現という弁護士の使命をどう考えるのか、そうはいっても大増員時代に霞ばかりも食えないし、という問題提起をしながらも、後半はお得意のランキングとか収入の実態という話になってしまうのは週刊ダイヤモンドの定石なのでそこは仕方ないですが。


疑問に思ったのが「潜在市場は2兆3000億円-主要案件(刑事は除く)別の法務サービス推計値」という図。

企業法務は3000億円の市場だそうで、その根拠は
・企業法務を専門とする法律事務所に勤める弁護士の平均時間報酬を5万円、年間に必要とされる労働時間2000時間
・企業法務にかかわる弁護士数は3000人
(計算式)
5万円×2000時間×3000人=3000億円
とあります。

「平均5万円」というのはちょいと高いんじゃないか、とか逆にアソシエイトの労働時間はこんなもんじゃ済まないんじゃないかということはさておき、そもそも「年間に必要とされる労働時間」の根拠が不明。

うがって考えてみると、正確には「年間に(法律事務所に)必要とされる報酬請求対象となる時間」ということなんじゃないか。
つまり(この記事のために取材した)タイムチャージで仕事をしている法律事務所は、売上の目安(ノルマ)として「年間一人2000時間」という数字を持っているのではないかということ。(ちなみに2000時間というのは週40時間労働制の年間労働時間(365日で2085時間)とほぼイコールです。)

だから最近、簡単な契約に妙に細かいコメントが付くのか、などと思ってみたり・・・


それはさておき、案件が減ってくると大量採用した若手弁護士が経験を積む機会が少なくなるわけで、法律事務所・若手弁護士双方にとって収益面以上に若手の能力開発という意味で不景気の影響は大きいのではないかと思います。

コメント
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