一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

週刊ダイヤモンド「ニッポンの団地」

2009-09-05 | 乱読日記
先日はちょっとくさしてしまったのですが、今週号の週刊ダイヤモンドの特集「ニッポンの団地」はいいです。

高度成長を支えた「団地」が直面する高齢化と老朽化という問題を軸にしながらも、いつもの「危ない○○ランキング」のように危機感をあおるだけでなく、建替えやコミュニティ維持の成功事例などを豊富に盛り込みながら考えさせられる内容になっています。

また、記事の切り口も、URの役割(これ単独でつっこめる話題ではあるもののポイントは押さえてます)とか中古団地の購入作戦(リフォームを前提にすればお買い得)から「団地萌え」(^^)まで幅広いです。

けっこうおすすめ。


ところで、居住者の高齢化はともかく、老朽化については民間の賃貸住宅も同じで、ここ数年のJ-Reitや不動産投資ファンドブームの中で大量に供給された賃貸マンションについても、30年後くらいには「似たような企画の住宅が一斉に老朽化(大規模修繕の必要な時期)を迎える」という同様のことが起きるはずです。

これに対して大きくは①物件の入れ替えで対応する、②長期修繕費を積み立てて対応する、という二つの対応策方向性があります。
ただ前者は、物件を売ろうとした場合、買主も長期修繕費用を割り引いて買うことになるので理論的には②よりも儲かることにはならない(=上手に売り逃げて「ババ抜き」に勝ち続けるのは無理がある)はずです。

そうすると、長期修繕費を確保することが必要になりますが、J-Reitは導管性要件として利益の90%配当が必要なので、基本的にはその原資は減価償却費で賄う必要があります。増資で資金調達という選択肢もありますが、大規模修繕のための増資は単なる希釈化になる可能性が高いので難しいと思います。
制度上J-Reitは減価償却費の60%を上限に「出資の払い戻し」として分配が可能ですが、そういうことをやって見かけの分配金を増やしているところがあったとすると(調べたわけではありません)もっと厳しいですね。。

J-Reitの投資法人債償還などの資金調達リスクは「官民ファンド」の設立等で一息つきそうですが、金融市場が落ち着いた後にはレバレッジ・資金繰り以外の中長期的な運用戦略と力量が問われることになります。

そうなってはじめて商品として定着したことになるんでしょうね。

コメント
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