一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「国鉄」感覚の残滓

2009-09-28 | よしなしごと

こういう発言を聞くと「組織ぐるみ」という言葉は「ボトムアップ」「根回しによる全員一致」といういわゆる「日本的」企業文化を前提にした用語なのかと改めて思います。
でも、経営幹部が「調べろ」と言って部下が動くのが「組織ぐるみ」でないとするとなんなんでしょう。

現副社長、接触依頼認める 尼崎JR事故報告書漏えい問題
(2009年9月27日(日)12:34 共同通信)

尼崎JR脱線事故の報告書漏えい問題で、JR西日本の土屋隆一郎副社長(59)が27日、取材に応じ、07年6月の最終報告書公表前、同社東京本部の鈴木喜也副本部長に対し、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)の元委員への接触を依頼していたことを認めた。土屋副社長は「可能な範囲で話を聞いてくれと依頼した」と話す一方、「私個人の判断」と強調。組織ぐるみの関与は否定。

確かにトラブルへの対処として「相手側のホンネを探る」というのは基本ではあります。
また、社長や他の役員の顔色をうかがっている役員には「答えを聞いてから解答を書く」ような意思決定をしたがる人もいるのも事実だと思います。
特に起業存亡の危機にあたっては、「平時型」の役員から対応策を具申した部下に対して「本当にそれで大丈夫なのか?」というような(ある意味自らの職務を放棄したともいえる)問いかけがなされることも想像に難くありません。

ただ、情報収集にもやっていいことと悪いこと(言い方を変えれば、ばれたときのリスクが大きいこと)があります。

その辺の感覚がちょっと足りなかったようです。

許認可事業である鉄道会社、特に「国鉄」の流れを汲むJRは、国土交通省の意向を常に意識せざるを得ず、またある部分では鉄道行政に影響を与えながら二人三脚でやってきた部分もあると思います(MOF担ならぬ「MLIT担」-「ムリタン」だと語呂が悪いですね-のような人もいるんでしょう)。

昔は金融機関と大蔵省の関係もなあなあなところがあったのでしょうが、金融庁になってからはかなりガチンコ勝負になっているようですが、その辺の感覚が「国鉄一家」にはまだ薄かったのではないでしょうか。


コメント
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