勤務先の同僚で、高校時代の同窓会をした折、林檎を作っておいでの方と話が合い、以来送ってくれるようになったとかで、その内の1個を戴いた。基本、林檎には拘りがあって、服で拭って口にする。水で洗ったり、皮を剥いたりはしない。
水道水のカルキが厭だし、あの皮毎がいいのだ。子どもの頃に食べた、あの何とも甘酸っぱさも懐かしい。戴いた林檎はその味がした。何処のスーパーにも売っていない、自然の香りと味に驚き、今年は堪能したく、分けてくれるよう話した。
昨夕、帰宅したら宅配ボックスがある。何だろうと、びっくり腰で開けてみれば、林檎である。余りのうれしさに、封を切って暫し眺め、届いたお礼を連絡した。突然の電話に、とてもやさしい感じで応対してくださり、思わず目頭が篤くなってくる。
朝の連続テレビ小説、おはなはんでの、樫山文枝さんと高橋幸治さんの結婚に、林檎の花の咲く中を、馬車で通る場面がある。祖母は、田舎者でもあり、特に何所かに出掛けたいと言うことがなかったが、あの林檎並木だけは見たいと呟く。
孫のわたくしには、経済力もない歳で、祖母の願いを叶えることは出来なかった。でも、祖母の夢にまで視た想いを、忘れることはなかった。我が家に林檎の木を買い、花も見えた。死ぬまでにあの林檎並木を見てみたい。祖母に遇い話そう。
何時か林檎の花の満開の中を、祖母と一緒に歩いてみよう。その想いが通じたものだろう。我が家には、幸いなことに枇杷葉があり、花芽茶を少し摘もう。結実したら、小さな箱で送らせてもらおう。今度の休みに、生葉と一緒にして。感謝のみ。
送ってくださった真心が、箱を開けた瞬間に感じられ、林檎たちが微笑んでくれた。すばるが、気になるのか、箱を引っ掻いている。そこから迸る自然のエネルギーを、身体中に受止めた。宇宙が繋がり、何かが降臨したようでもあり、不思議。
この世にも、科学では説明できないことが多々ある。一昨日も、出かけるのを遅らせてしまったが、道路に血痕が見えた。事故現場に行き遭わないよう、時間をずらせて通過した。何がどうと言うのでもないが、何かが危険回避させるらしい。
冬の宇宙は、大気が澄んでおり、星の輝きは素晴しいが、春の淡い霞にけぶる、星の瞬きも美しい。