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地熱・工場廃熱などの熱源から熱エネルギーで直接発電する増感型熱利用発電を開発

2019-07-19 | 科学・技術
 要点
 〇熱源から発生する熱エネルギーで直接発電する“増感型熱利用発電”の開発に成功した。
 〇この“増感型熱利用発電”は、色素増感型太陽電池における光エネルギーを使って電子を励起する光励起を、熱エネルギーによる電子の熱励起に置き変えることで達成した。
 〇地熱や工場廃熱などの熱源に置くだけ、埋めるだけで発電する。しかも、発電は40℃~80℃と身近にあふれる温度で成功。
 〇発電終了後、熱源の下に放置しておくと、発電性能が復活する。シート状のスタイリッシュな形状で実現。
 東京工業大学物質理工学院材料系の松下祥子准教授および三櫻工業株式会社は、熱源に置いておけば発電し、発電終了後そのまま熱源に放置すれば発電能力が復活する、増感型熱利用電池の開発に成功した。この成果は、2019年6月20日に英国の科学誌「Journal of Materials Chemistry A」オンライン版に掲載された。
 太陽電池では光エネルギーにより生成した電子を利用するが、この電池では熱エネルギーにより生成した電子を利用する。通常、熱により生成した電子だけでは発電は生じない。熱だけの場合、半導体の中で電子は安定し、電子は移動せず電流生成に至らない。そこで、松下准教授は、熱により生成した電子と、酸化還元の化学反応を組み合わせることで発電させることに成功した。さらに、熱下でのイオンの移動を電解質内で制御することで、発電終了後そのまま熱を与え続けるだけで発電能力を復活させることができた。すなわち、本発電装置によって、熱源に埋めて、回路のスイッチをオンオフするだけで、熱エネルギーにより直接発電することが可能となった。
 特に、今回、半導体として狭いバンドギャップを持つゲルマニウム(トーニック製)を使用することで、発電温度を80℃以下にまで下げることに成功。発電は40℃~80℃と身近にあふれる温度で確認されており、今後IoTセンサ用電池からクリーンで安全な地熱利用発電所の構築、そしてCO2排出量の削減、エネルギー問題の解決などに資する成果である。
 研究の経緯
 松下祥子准教授は、色素増感型太陽電池と呼ばれる化学系太陽電池に着目した。色素増感型太陽電池は、色素内の光励起電荷により電解液のイオンを酸化・還元して発電する、薄くて軽いシート状の太陽電池である。この色素内の光励起電荷を半導体の熱励起電荷に変えれば、温めるだけで発電する電池ができると予想した。また、このような熱エネルギー変換が可能ならば、冷却部不要で、熱源にデバイスを埋めて電気を得る、新しい熱エネルギー変換系の構築が可能ではないかと思いつき、熱励起電荷によるイオンの酸化・還元反応を確認した(特願2015-175037, )。ただしこの時、発電温度は600℃であり、発電がどのように終了するのかも不明であった。
 今回、松下祥子准教授ならびに三櫻工業株式会社は、半導体として狭いバンドギャップを持つゲルマニウム(トーニック製)を使用することで発電温度を80℃まで下げることに成功し、発電終了のメカニズムを明らかにした。さらには熱エネルギーにより電解質内でイオンが拡散することを利用し、発電能力を復活させることに成功した。
 研究成果
 今回作製した電池(サイズ約2cm×1.5cm、2mm厚、重さ1.6 g)を80℃に設定した恒温槽中に設置すると、開放電圧0.37V 、短絡電流3μA/cm2の発電が確認された。本電池を直列につなぐと液晶ディスプレイが点灯した。短絡電流値は高温ほど大きくなった。
 80℃内での100nAの連続放電テストでは、70時間以上の継続放電が確認された。放電終了後、そのまま80℃の恒温槽に10時間ほど放置しておくと発電性能が復活し、再び数時間程度発電した。この再放電時間は、放置時間が長くなるほど伸びた。このような放電終了・再放電サイクルは少なくとも25回以上安定して確認された。
 ◆用語説明
 化学系太陽電池 : イオンの酸化還元反応といった化学反応を利用した太陽電池。
 励起電荷 : 外部からエネルギーを受けて、通常より大きなエネルギーを持つようになった電子及び正孔。

 今日は朝から曇り、時々青空が見える。気温は高く、最高気温29℃、湿度が高く暑い。
 畑で、一昨年の秋に球根で植えた”リアトリス”に花が咲いている。蕾状態の花序(かじょ)から開花まで1月程かかり、ゆっくりした開花となっている。
 ”リアトリス”の花の付き方は、槍咲きと玉咲きに大別され、畑のは槍咲きである。槍咲きは小さな花が穂状に花茎にびっしりと咲く。花の咲き方は、花茎の先端の花が最初に咲き、次の花はその下の側面の蕾が咲く。この咲き方の花序を有限花序と言う。これに対して、無限花序とは花茎の先端が成長しつつ側面に花芽を作り、花は根本から咲き出し先端まで順に咲き上って行く。玉咲きは大きめの玉状の花が咲くもので、花の数が少ないが大きいので見栄えがする。
 リアトリス
  (Liatris)
 別名:百合薊(ゆりあざみ)、麒麟菊(きりんぎく)
 キク科リアトリス属
 多年草(春植え球根)
 原産地は北アメリカ
 日本には大正末に数種類が渡来とされる
 開花時期は6月~9月
 花色は紫・赤紫・白
 リアトリスには35種程の野生種が知られている
 花の咲き方には、槍咲き型と玉咲き型がある
 良く見られるのは、穂状の花のスピカータ(L.spicata)、球状の花のリグリスティス(L.ligulistylis)という


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