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導電性高分子への通電による湿度制御法を開発

2018-06-25 | 科学・技術
 大気中の水分は、生体の保湿・食品のみずみずしさの保持・文化財の適切な保存などに必要だが、過剰な水分は物質を変質させる欠点もある。材料やデバイスの特性に、しばしば湿度が影響を及ぼすことがあり、研究分野でも湿度の制御が求められている。
 産業技術総合研究所ナノ材料研究部門ナノ薄膜デバイスグループ向田雅一主任研究員、衛慶碩主任研究員、石田敬雄研究部門付、ナノバイオ材料応用グループ丁武孝研究員らは、有機電極材料として開発されてきた導電性高分子PEDOT/PSSが高い吸湿性を示すことを見いだし、その性質を生かした簡単な湿度制御法を開発した。さらに、容積が約1リットルの簡単な構造の湿度制御容器を試作し、単3電池1本で20%~80%で湿度を制御できることを実証した。食料品、医薬品、生体材料などの任意の湿度環境での輸送や保管に用いる容器、実環境に近い高湿度環境下での分光分析用試料保持セルなどへの応用が期待される。
 導電性高分子のPEDOT/PSSは最大で1,000S/cmを超える非常に高い導電率で、電流が流れやすい。しかし、金属の電極やリード線との接触抵抗が非常に大きく、PEDOT/PSSが持つ本来の特性を生かすことができなかった。そこで、金電極をリード部分に用いて接触抵抗を低減させた。温度24℃で湿度43%の室内にある電子てんびん上にPEDOT/PSSをのせた状態で、0A/cm2から75A/cm2の電流(数値は電流密度)を流すと、100mgだったPEDOT/PSSの重量が電流値を大きくするほど減少し(15 mg以上)、電流を0A/cm2にすると重量はもとに戻った。
 この結果をもとに、1リットルの容器内に面積25cm2、厚さ約300μmのPEDOT/PSSを配置し、容器内の設定湿度に応じて電流をON-OFFする制御を行った結果、20%~80%の任意の湿度に制御(誤差±2%)できた。応答速度に優れており、数分で設定した湿度に達した。この試作機は単3電池1本で駆動し、湿度80%の設定(電流量大)では1日、30%の設定(電流量小)では1週間以上の連続運転が可能であった。
 目的湿度の維持は、一般的な生活環境下(温度:0~40℃、湿度:20~80%)では容器などの容積にあわせたPEDOT/PSS膜の面積調整だけで可能である。また高湿度維持のためには水中に浸漬して十分に保水させた膜を用いることで、逆に低湿度維持のためには高温で乾燥させた膜を用いることで、それぞれ可能となる。通電により発熱するPEDOTと水を吸放出するPSSがナノメートルレベルで近接しているため、供給電力が効率よく水の放出に使われたと考えられる。また、通電による容器内の温度変化も4℃以内(使用温度22℃)であった。なお、PEDOT/PSS膜自体は温度200℃まで使用できる。
 可動部を持たず、導電性高分子に通電するだけで作動する、広範囲、高精度で低消費電力の湿度調節器を開発した。
 ◆導電性高分子 PEDOT:PSS
 導電性高分子とは電気が流れる高分子のこと。一般的には共役構造が長く続いた高分子が使われる。
 今回用いた導電性高分子は、Poly(3,4-ethylenedioxythiophene):Poly(styrenesulfonate)(略称 PEDOT:PSS)で、導電性高分子の中でも最も高い1000 S/cm近い導電性をもつ。また同時に高い柔軟性をもっている。

 お知らせ:暫くブログをお休みします。・・旅行に行ってきます。

 今日も天気は晴れ。梅雨入りとなっている季節、でもズット雨が降っていない。
 垣根に這わせた”ビヨウヤナギ”に花が咲いている。良く似た花に”キンシバイ(金糸梅)”があり、遠くからだど区別できない。この花の特徴は、細くて長い雄蕊(おしべ)で、黄色の花びらの中心から飛び出している。
 ”ビヨウヤナギ”と”キンシバイ(金糸梅)”、両者はオトギリソウ科オトギリソウ属であり、”ヒペリカム”と呼ばれる。”ヒペリカム”とはオトギリソウ属のラテン名で、”コボウズオトギリ”も”ヒペリカム”である。
 両者の違い
       ビヨウヤナギ    キンシバイ
 花の大きさ 径5cm~6cm     径3cm~4cm
 花の開き  平坦に近く開く   半開きに近い開き
 雄蕊の長  数多く、とても長い 普通の長さ
 ◆ビヨウヤナギ(未央柳、美容柳)
 学名:Hypericum chinense
 別名:美女柳(びじょやなぎ)、金線海棠(きんせんかいどう)
 オトギリソウ科オトギリソウ属
 半落葉性低木
 中国原産、渡来は江戸時代
 開花時期は6月~7月


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