名古屋大学未来材料・システム研究所のアジ・アドハ・スクマ研究員と大野雄高教授ら及び九州大学グローバルイノベーションセンターの吾郷浩樹教授の研究グループは、一滴の水滴から5ボルト以上の発電をする技術を開発した。
この発電装置は、プラスチックフィルム上に成膜された原子レベルで薄い二硫化モリブデンから構成されており、その表面を水滴が滑り落ちる時に発電する。従来、原子層材料の一種であるグラフェンを用いて同様の発電現象が報告されていたが、出力電圧は0.1ボルト程度にとどまっていた。
研究では、半導体の原子層材料である二硫化モリブデンを用いることで、センサデバイスを駆動するのに十分な高い出力電圧を得ることに成功した。この技術は、工場排水のモニタリングのための自己給電型水質センサなどのIoTデバイスへの応用が期待される。
ポイント
〇1層の二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に大面積に成膜する技術を開発
〇一滴の水滴から5ボルト以上の高い電圧を発電
〇流体の存在する環境における自己給電型 IoTデバイスへの応用に期待
成果の内容と意義
1. 1層の 二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に大面積に成膜する技術を開発
二硫化モリブデンは層状物質であり、極限的に薄くすると1原子レベルまで薄くすることができる。発電装置の実現には、プラスチックフィルム上に、大面積かつ1層の二硫化モリブデンを成膜する技術が必要であった。従来、原料となる酸化モリブデンと硫黄を成長装置の上流側に設置し、高温に加熱した基板に供給する方法がとられていたが、大面積の基板に均一に硫化モリブデンを成長させることは困難であった。
本研究では、酸化モリブデンを基板に対向して設置するとともに 、均一に供給する 工夫を行うことにより、大面積で1層の二硫化モリブデンを成膜することに成功した。また、サファイア基板を用いることにより、高品質化も実現した。
さらに、サファイア基板上に成長した二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に転写する技術も開発した。転写工程において、極めて薄い二硫化モリブデンを支持するため 、従来、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)フィルムが用いられていたが、大面積で転写するのは困難であった。本研究では、ポ リスチレンフィルムを支持材料として用いることにより、表面エネルギーの違いを利用して、簡便に大面積の二硫
化モリブデンを転写することに成功した。
二硫化モリブデンは極めて薄い半導体材料であり、開発した成膜技術は発電装置のみならず、集積回路やフレキシブルエレクトロニクスなどへの半導体応用も期待できる。
2. 一滴の水滴から5ボルト以上の高い電圧を発電
プラスチックフィルム上に成膜した二硫化モリブデンを用いることにより、たった一滴の水滴から5ボルト以上の高い電圧を発生させることに成功した。
発電装置は、二硫化モリブデンの両端に電極を形成した単純な構造である。発電装置を45°に傾け、水滴を表面に落とし、二硫化モリブデンの表面を滑らすと、電圧が発生する。1滴の水滴を落とすごとに、パルス状の5ボルトから8ボルトの電圧が発生した。
従来、炭素の原子層材料であるグラフェンを用いることで同様の発電現象が知られていたが、発電電圧は数十ミリボルトから数百ミリボルトにとどまっており、センサなどの電子デバイスを動作させるには電圧が不十分であった。
本研究では、半導体の原子層材料である二硫化モリブデンを用い、発電装置内で還流する電流を抑制することにより、センサ駆動に十分な高電圧化を実現した。さらに、3つの発電装置を直列接続し、3滴の水滴を同時に滴下することにより、15ボルトの発電にも成功した。
3. 流体の存在する多様な環境における自己給電型IoT デバイスへの応用に期待
この発電技術は、流体の存在する様々な環境において、自己給電型IoT デバイスの電源として利用することが想定される。 発電装置はプラスチックフィルム上に形成されており、柔軟性があるため、配管の内側の曲面などに設置することも可能であり、高い設置自由度をもつ。例えば、雨滴から発電する自己給電型の雨量計や酸性雨モニタ、工場排水から発電し、同時に排水の水質モニタリングを行う自己給電型水質センサなどのIoT デバイスへの応用が考えられる。
◆用語説明
〇二硫化モリブデン
層状の結晶構造を持ち、力が加わると容易に層間が滑るため、粉末は潤滑剤として用いられている。極限的に薄くすると1原子レベルまで薄くすることができる。1層まで薄くすると半導体材料として用いることができる。
〇グラフェン
炭素の層状物質であるグラファイトを1層まで薄くしたもの。金属的な材料であり、電池や透明導電膜など、多様なエレクトロニクス応用が期待されている。
〇環境発電(エネルギーハーベスティング)
身の回りに存在する微小なエネルギー(光、熱、振動など)を電力に変換する技術。身近なところでは、ソーラー腕時計などがある。
〇フレキシブルエレクトロニクス
柔軟性をもち、曲げられる電子デバイスを提供する技術。例えば、曲面に設置可能な IoTデバイスや人体に設置可能な電子デバイス(ウェアラブルデバイス)への応用が期待されている。
天気は晴れ。気温は、最高気温13°と寒くはない。
街路樹に”イチョウ”が植えられている。葉は既に落ち、実が樹の周辺に散り落ちている。”イチョウ”は雌雄異株、実は雌株にのみになる。・・実をだれも拾わない・・匂いが気にならないのかな。日本語では”イチョウ”の実を指して「ぎんなん」と呼ぶ、これは「銀杏」の唐音読み「ぎん・あん」が、連声と呼ばれる現象によって転訛したもの、と言う。
因みに、”イチョウ”は「生きている化石」植物の一つである。イチョウ類は、約3億年前(古生代後期)に出現し、中生代に最も繁栄した。
イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹)
イチョウ科イチョウ属
裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存している種
雌雄異株 実は雌株にのみになる
落葉高木
広葉樹にも針葉樹にも属さない
中国原産、鎌倉時代の渡来説が有力
開花時期は4月~5月
花粉は風で運ばれる(風媒花)。結実は9月~10月
この発電装置は、プラスチックフィルム上に成膜された原子レベルで薄い二硫化モリブデンから構成されており、その表面を水滴が滑り落ちる時に発電する。従来、原子層材料の一種であるグラフェンを用いて同様の発電現象が報告されていたが、出力電圧は0.1ボルト程度にとどまっていた。
研究では、半導体の原子層材料である二硫化モリブデンを用いることで、センサデバイスを駆動するのに十分な高い出力電圧を得ることに成功した。この技術は、工場排水のモニタリングのための自己給電型水質センサなどのIoTデバイスへの応用が期待される。
ポイント
〇1層の二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に大面積に成膜する技術を開発
〇一滴の水滴から5ボルト以上の高い電圧を発電
〇流体の存在する環境における自己給電型 IoTデバイスへの応用に期待
成果の内容と意義
1. 1層の 二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に大面積に成膜する技術を開発
二硫化モリブデンは層状物質であり、極限的に薄くすると1原子レベルまで薄くすることができる。発電装置の実現には、プラスチックフィルム上に、大面積かつ1層の二硫化モリブデンを成膜する技術が必要であった。従来、原料となる酸化モリブデンと硫黄を成長装置の上流側に設置し、高温に加熱した基板に供給する方法がとられていたが、大面積の基板に均一に硫化モリブデンを成長させることは困難であった。
本研究では、酸化モリブデンを基板に対向して設置するとともに 、均一に供給する 工夫を行うことにより、大面積で1層の二硫化モリブデンを成膜することに成功した。また、サファイア基板を用いることにより、高品質化も実現した。
さらに、サファイア基板上に成長した二硫化モリブデンをプラスチックフィルム上に転写する技術も開発した。転写工程において、極めて薄い二硫化モリブデンを支持するため 、従来、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)フィルムが用いられていたが、大面積で転写するのは困難であった。本研究では、ポ リスチレンフィルムを支持材料として用いることにより、表面エネルギーの違いを利用して、簡便に大面積の二硫
化モリブデンを転写することに成功した。
二硫化モリブデンは極めて薄い半導体材料であり、開発した成膜技術は発電装置のみならず、集積回路やフレキシブルエレクトロニクスなどへの半導体応用も期待できる。
2. 一滴の水滴から5ボルト以上の高い電圧を発電
プラスチックフィルム上に成膜した二硫化モリブデンを用いることにより、たった一滴の水滴から5ボルト以上の高い電圧を発生させることに成功した。
発電装置は、二硫化モリブデンの両端に電極を形成した単純な構造である。発電装置を45°に傾け、水滴を表面に落とし、二硫化モリブデンの表面を滑らすと、電圧が発生する。1滴の水滴を落とすごとに、パルス状の5ボルトから8ボルトの電圧が発生した。
従来、炭素の原子層材料であるグラフェンを用いることで同様の発電現象が知られていたが、発電電圧は数十ミリボルトから数百ミリボルトにとどまっており、センサなどの電子デバイスを動作させるには電圧が不十分であった。
本研究では、半導体の原子層材料である二硫化モリブデンを用い、発電装置内で還流する電流を抑制することにより、センサ駆動に十分な高電圧化を実現した。さらに、3つの発電装置を直列接続し、3滴の水滴を同時に滴下することにより、15ボルトの発電にも成功した。
3. 流体の存在する多様な環境における自己給電型IoT デバイスへの応用に期待
この発電技術は、流体の存在する様々な環境において、自己給電型IoT デバイスの電源として利用することが想定される。 発電装置はプラスチックフィルム上に形成されており、柔軟性があるため、配管の内側の曲面などに設置することも可能であり、高い設置自由度をもつ。例えば、雨滴から発電する自己給電型の雨量計や酸性雨モニタ、工場排水から発電し、同時に排水の水質モニタリングを行う自己給電型水質センサなどのIoT デバイスへの応用が考えられる。
◆用語説明
〇二硫化モリブデン
層状の結晶構造を持ち、力が加わると容易に層間が滑るため、粉末は潤滑剤として用いられている。極限的に薄くすると1原子レベルまで薄くすることができる。1層まで薄くすると半導体材料として用いることができる。
〇グラフェン
炭素の層状物質であるグラファイトを1層まで薄くしたもの。金属的な材料であり、電池や透明導電膜など、多様なエレクトロニクス応用が期待されている。
〇環境発電(エネルギーハーベスティング)
身の回りに存在する微小なエネルギー(光、熱、振動など)を電力に変換する技術。身近なところでは、ソーラー腕時計などがある。
〇フレキシブルエレクトロニクス
柔軟性をもち、曲げられる電子デバイスを提供する技術。例えば、曲面に設置可能な IoTデバイスや人体に設置可能な電子デバイス(ウェアラブルデバイス)への応用が期待されている。
天気は晴れ。気温は、最高気温13°と寒くはない。
街路樹に”イチョウ”が植えられている。葉は既に落ち、実が樹の周辺に散り落ちている。”イチョウ”は雌雄異株、実は雌株にのみになる。・・実をだれも拾わない・・匂いが気にならないのかな。日本語では”イチョウ”の実を指して「ぎんなん」と呼ぶ、これは「銀杏」の唐音読み「ぎん・あん」が、連声と呼ばれる現象によって転訛したもの、と言う。
因みに、”イチョウ”は「生きている化石」植物の一つである。イチョウ類は、約3億年前(古生代後期)に出現し、中生代に最も繁栄した。
イチョウ(銀杏、公孫樹、鴨脚樹)
イチョウ科イチョウ属
裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存している種
雌雄異株 実は雌株にのみになる
落葉高木
広葉樹にも針葉樹にも属さない
中国原産、鎌倉時代の渡来説が有力
開花時期は4月~5月
花粉は風で運ばれる(風媒花)。結実は9月~10月
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