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【告知】佐川美術館所蔵 平山郁夫展 大唐西域画への道 (7月18日まで、釧路)

2011年05月29日 20時31分08秒 | 展覧会等の予告
 平山郁夫氏(1930~2009年)が戦後の日本画を代表する画家のひとりであるとされていることは、このブログの読者はご存じだと思う。
 仏教やシルクロードをテーマにした作品を多く手がけるかたわら、アジアなどの文化財保護にも努めた。

 ちらしによると

 本展は、晩年の代表作のひとつである《大唐西域画》など、平山作品の幅広い収蔵で知られる滋賀県守山市の佐川美術館のコレクションから76点の秀作を選りすぐり、その深遠な魅力あふれる絵画世界を紹介するものです。


(平山郁夫氏については毀誉褒貶 き よ ほうへんがあるが、それについては、彼の逝去のときに書いたエントリをごらんいただきたい。筆者は、平たくいうと、画壇の悪の根源みたいな非難には賛同しかねるが、かといって、下村観山や横山操クラスの、日本の美術史を変えた巨匠とまでいうと、いささかほめすぎだと思っている)

 たしかに、シルクロードという題材は、多くの日本人にロマンを感じさせるものだし、穏当な写実を旨とする画風も、一般に愛好されやすい。

 ただ、彼が西域やシルクロードに足しげく通ったことは、本来日本画が扱うべき日本国内に、日本画が持っているロマンの内実に耐える題材が乏しくなってしまったことの裏返しではないかと思う。
 経済成長と引き替えにわたしたちは、菱田春草や川合玉堂が描いたような古き美しき日本を失ってしまった。日本画の題材にしたい風景が、日本には、もはや少ない。 
 古くて美しい、なつかしさ漂う風景を求めようとすれば、アジアに出ていくしかない。
 とすれば、わたしたちがシルクロードの絵を見てなつかしさを感じるのは、そこに、日本が失った風景があるからなのだろう。

 いかん。
 書き始めるとつい、小難しい方向に走ってしまう。


 なお、佐川美術館は、夕張や札幌ゆかりの彫刻家佐藤忠良氏の作品を多く所蔵することでも知られている。


2011年5月28日(土)~7月18日(月)9:30~5:00、最終日以外の月曜休み
道立釧路芸術館(釧路市幸町4)

一般1000円(800円)、高大生600円(400円)、小中生300円(200円)、男女ペア1600円
※( )内は団体料金
※親子割引:高校生以下とその親は、( )内の料金で観覧できます
※リピーター割引:この展覧会の半券をお持ちの方も、( )内の料金で観覧できます
※障碍者手帳などをお持ちの方は無料

●学芸員による鑑賞ツアー 6月12日(日)、26日(日)、7月10日(日)いずれも午後2時

●ギャラリートーク「ここに文明がある-平山郁夫の旅と芸術」(お話は学芸員) 6月5日(日)、19日(日)、7月3日(日)いずれも午後2時

(参考)釧路市立美術館ではけんぶち絵本ワールドを5月28日~7月10日に開催中。


□佐川美術館 http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/



・JR釧路駅から1.2キロ、約15分
・くしろバス「十字街」「十字街7丁目」から約5分
・フィッシャーマンズワーフ「MOO」(長距離バスのバス停あり)からすぐ


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