■福村書店と香川軍男の薯版
現時点ではくわしいことはわかっていないが、北見の福村書店北の書籍館が6日から営業を停止している。
近く自己破産を申請するらしい。
同書店はオホーツク管内では最大規模で、道内でも、地場資本の書店としては有数の売り上げをあげていた。
筆者もこれまで同店で何冊本を買ったか分からない。
市内に建設中の、郊外型の大型書店「コーチャンフォー」が10月に開店して以降は、正直なところ危ないなと予想していたが、それまでもたないとは思ってもみなかった。
筆者がかつて北見に住んでいたときは、中心部の銀座通沿いに、あまり大きいとは言いかねる本店の店舗があった。ほかに、きたみ東急百貨店(閉店し、現在はまちきた大通ビル・パラボ)の6階にも支店があった。
その後、95年ごろに、中心街から西に1キロほど離れたところに「北の書籍館」をオープン。本店は、教科書販売場などに用いられた後、昨年から小さな書店「ブックキャビン」に代わっていた。
「北の書籍館」オープンのときのことはよく覚えているので、てっきり北見支社在職時のことかと思ったら、すでに本社勤務だった95年のことだった。
北見の老舗として、一気に郊外へとシフトするわけにはゆかず、しかしクルマ社会に対応できない古い店のままでは郊外型書店の進出にも対抗できないという、苦しい立場のあらわれた立地であるように、筆者には感じられた。
ただ、品ぞろえは、地方都市の本屋としては健闘していたと思う。
岩波文庫、岩波新書などはかなりの品数がそろい、棚を埋めていた。
最大の特徴は地元関連の本や雑誌、同人誌などを、ひとつのコーナーに集めて売っていたことだった。
社長のお兄さんが、いも版画家の香川軍男さんで、彼の手がけたグーテンベルクの肖像がブックカバーなどに使われていた。
さらに、作品をあしらった1枚刷りのカレンダーも毎年出ていた(札幌でギャラリーたぴおを主宰していた竹田博さんが、亡くなるまでデザインを担当していた)。
いも版画集も以前、定期的に刊行していた。
今回の閉店で、北見市内の書店は、先述のブックキャビンのほか
・TSUTAYA(リラィアブル)
・イオン北見店(フジヤ書店)
・コープ春光店(紀久屋書店)
・GEO南大通店
ということになり、雑誌が中心で、人文書などはまったく期待できなくなってしまう。
(このほか留辺蘂地区にも本屋さんがあります)
(7月10日追記。北見市内にはヴィレッジヴァンガードもある。ただし、本はごく少ない)
やはり、amazonやブックオフ(北見にも店舗がある)の影響を受けて、きびしかったのだろうか。
本屋の存在(品ぞろえの量と質)は、その町の文化度のバロメーターではないか。
北見のマチが失ってしまったものの大きさを思う。
■福村書店のカレンダー、ことしも(2009年)
■香川軍男「薯版 北見昔々」を、ギャラリーたぴおで買った
福村書店のカレンダー、ことしも(2008年)
福村書店のカレンダー 2008年版
■香川軍男薯版画 北見・福村書店カレンダー展(2002年)
現時点ではくわしいことはわかっていないが、北見の福村書店北の書籍館が6日から営業を停止している。
近く自己破産を申請するらしい。
同書店はオホーツク管内では最大規模で、道内でも、地場資本の書店としては有数の売り上げをあげていた。
筆者もこれまで同店で何冊本を買ったか分からない。
市内に建設中の、郊外型の大型書店「コーチャンフォー」が10月に開店して以降は、正直なところ危ないなと予想していたが、それまでもたないとは思ってもみなかった。
筆者がかつて北見に住んでいたときは、中心部の銀座通沿いに、あまり大きいとは言いかねる本店の店舗があった。ほかに、きたみ東急百貨店(閉店し、現在はまちきた大通ビル・パラボ)の6階にも支店があった。
その後、95年ごろに、中心街から西に1キロほど離れたところに「北の書籍館」をオープン。本店は、教科書販売場などに用いられた後、昨年から小さな書店「ブックキャビン」に代わっていた。
「北の書籍館」オープンのときのことはよく覚えているので、てっきり北見支社在職時のことかと思ったら、すでに本社勤務だった95年のことだった。
北見の老舗として、一気に郊外へとシフトするわけにはゆかず、しかしクルマ社会に対応できない古い店のままでは郊外型書店の進出にも対抗できないという、苦しい立場のあらわれた立地であるように、筆者には感じられた。
ただ、品ぞろえは、地方都市の本屋としては健闘していたと思う。
岩波文庫、岩波新書などはかなりの品数がそろい、棚を埋めていた。
最大の特徴は地元関連の本や雑誌、同人誌などを、ひとつのコーナーに集めて売っていたことだった。
社長のお兄さんが、いも版画家の香川軍男さんで、彼の手がけたグーテンベルクの肖像がブックカバーなどに使われていた。
さらに、作品をあしらった1枚刷りのカレンダーも毎年出ていた(札幌でギャラリーたぴおを主宰していた竹田博さんが、亡くなるまでデザインを担当していた)。
いも版画集も以前、定期的に刊行していた。
今回の閉店で、北見市内の書店は、先述のブックキャビンのほか
・TSUTAYA(リラィアブル)
・イオン北見店(フジヤ書店)
・コープ春光店(紀久屋書店)
・GEO南大通店
ということになり、雑誌が中心で、人文書などはまったく期待できなくなってしまう。
(このほか留辺蘂地区にも本屋さんがあります)
(7月10日追記。北見市内にはヴィレッジヴァンガードもある。ただし、本はごく少ない)
やはり、amazonやブックオフ(北見にも店舗がある)の影響を受けて、きびしかったのだろうか。
本屋の存在(品ぞろえの量と質)は、その町の文化度のバロメーターではないか。
北見のマチが失ってしまったものの大きさを思う。
■福村書店のカレンダー、ことしも(2009年)
■香川軍男「薯版 北見昔々」を、ギャラリーたぴおで買った
福村書店のカレンダー、ことしも(2008年)
福村書店のカレンダー 2008年版
■香川軍男薯版画 北見・福村書店カレンダー展(2002年)
福村書店は書籍のセンスが良かったので、ビブリオマニアとしては、北見への出張時に重宝していました。数年前から市内で見かけなくなったので心配していたのですが、郊外に移動しての閉店ですか... 。
そう言えば、北見はデパートもなくなったのでしたっけ?
福村書店が元々会った所は、今は、再度、本屋さんになっているようで、覗いて見たのですが... 。ミステリのコーナに米澤穂信など、中々のセンスですが、狭い店内で、文庫本のコーナに、いきなり[蝿の王]... 。うーん、知っている方は持っているだろうし、知らない方は、買わないだろうし... 。[ 少女革命ウテナの元ネタ本? ]みたいなポップでも付けないと、普通は買わな員じゃないかと... 。
ふみやさん、大通にありましたね。
バス通の高校生がたまっていて、一般人はちょっと入りづらかったです。
金市館(ラルズ)の本屋さんはわたしが北見を離れていたころで、ほとんど知りません。
駅前プラザHOW(旧まるいいとう)の2階の本屋さんは時々行ったなあ。
あと、いまはダイソーとツルハになっている夕陽ケ丘通の店。
むかしは、YESそうご電器とCDショップと本屋さんでしたよね。
昔は東急の前にふみやさんがあったり、金市館(ラルズ)や東急6Fにも本屋があった時代が懐かしいです
ちなみに自分は、amazonは使ったことないです。amazonを使うくらいなら、地元の本屋さんに註文してきました。
そうでないと、いざこういうときになって「地域文化がどうのこうの」なんて、言えないですからね。
あぁぁ
大変ですねお互いですが。。。
>「地元の普通の店」のほうがよければ、チェーン>店には流れていかない
ここが一番大事ですよね!!
たとえば…。
常連が大声でしゃべっていて、まずい珈琲しか出さない地元の喫茶店だったら、ドトールの方がよっぽどいいもんな、悪いけど。
ふつうの消費者がチェーン店を支持するわけですよね。やっぱり安くて、全国均一のサービスのほうがいい、ってことで。
よっぽど「地元の普通の店」のほうがよければ、チェーン店には流れていかないんでしょうが。
たとえば、帯広なら、Coco壱番屋は進出してもやっていけないと思いますよね。
本のことでいえば、amazonが2、3日後に配送できて、なぜ自分は2週間もかかるのかということを、東販や日版がマジメに考えないと、本屋はこれからもどんどんつぶれていくでしょう。
まあ、わたしも自分の業界を棚に上げてどうこう言える立場じゃないですけど。がんばります。
生活が便利になっていく一方で失っていくものも大きいし、地場の商店が成り立たない今の世の中ってやはりおかしいと思います。うちの業界も同じですけど、潰れないように頑張ります。。。。。。。。。