美術家で札幌市立大教授でもある上遠野敏さんが、空知地方の旧産炭地を舞台に2004年以来展開している「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト」。
その後2009年には幌内布引(三笠)、11年に夕張清水沢、12年・13年に奔別(三笠)、14年は奔別と夕張、15年は夕張、16年に三たび奔別と、会場を変えてほぼ毎年続けられてきました。
赤平は昨年に続く開催となります。
今年は、上遠野さんの作品がとりわけ多く、個展といってもさしつかえないほど。
ここでは、2018年の赤平アートプロジェクトを、3回にわけて紹介します。まず、上遠野さんの作品をまとめて。
冒頭画像は「住友赤平立坑ネオン再び」。
会場は「坑口浴場」だった建物。
道路を挟んで向かい側に、赤平のシンボルともいえる住友赤平の立て坑があり、そのてっぺんに、この6文字のネオンサインが点灯していました。
(というか、筆者が見たときには、まだ取り付けてあったような気がする。いつ取り外したんだろう…)
要するに、ネオンサインが点灯するのですが、狭い部屋なので、ついていないときとの差が激しいです(つくと、まぶしい)。
かつては、赤平の街から見えていたのだろうなあと思います。
(ただし、同じ赤平でも茂尻から見えていたかどうかはわからない)
「石炭ガラガラ」。
白い箱の中に石炭が入っており、つまみを回すと、ガラガラとやかましい音を発するというもの。箱は、おそらく、商店街の福引きなどに使うものでしょう。
それが五つだか六つ並んでいて、訪れた人が自由に回せるようになっています。
石炭は、要するに大きめの石なので、発する音は非常に大きく、どこかの子が驚いて半べそをかいていました。
昔の石炭関連施設は、貨車に石炭を落として入れるものなど、大変な騒音だったんだろうな~と、気がつきました。
奥に見える赤い灯は、坂元あかりさん「灯火」です。
次は、大きな空間に展開しているインスタレーション「炭鉱用語」。
オレンジや黄緑の半透明のアクリル板に、炭鉱で使われる言葉を打ち出し、天井からつり下げています。
上遠野さんは
「専門用語にはその道の人に通じる「阿吽」の呼吸があるように思えます。来場者と炭鉱関係者がワードを挟んでコミュニケーションを取るのが狙いです」
とパンフレットに狙いを記しています。
その用語は
住友赤平炭鉱
閉山
山鳴り
山の神
坑内
ズリ山
出炭量
人車
三番方
一山一家
一番方
友子
二番方
炭住
炭層
仕繰
安全灯
炭車
ロング
石狩炭田
ドラムカッター
前山
松岩
自走枠
しゃくる
巻上
入気坑道
発破
炭塵
切詰
埋蔵量
コールピック
繰込み
黒ダイヤ
ロードカッター
保安
古洞
坑口浴場
山はね
上歌坑
坑口神社
ケージ
捜検
ほかにもいくつかあったと思います。
筆者も、意味がわからない言葉がけっこうありますし、一般的な語でも炭鉱では意味や語感が異なる場合があるのかもしれません。
さて、奥の空間には「閉山から二十四年。苔の生すまで」があります。
坑口浴場に生えたこけを集めて、1カ所にまとめた労作です。
「時の流れを感じる」
などと生易しい感想は脳裏に浮かばず、ただただ圧倒される感じです。
この奥の、天井の高い部屋には、地蔵が六つ並んでいました。
「苔地蔵」という題で、立坑巻揚室の苔むす場所で1年間保管してもらったそうです。
札幌軟石で作られているとのこと。
お地蔵さまの像は、上遠野さんの展覧会にはよく登場するアイテムです。
もともと浴室なので、湿気があるのかもしれませんが、筆者が訪れた際にはとりたてて湿っぽさは感じませんでした。
高所にある窓には黄色のセロファン(?)がはられて、中に差し込む光の色を幻想的なものに変えています。
次の記事は祭太郎について書こうと思います。
2018年9月8日(土)~10月8日(月)の土日祝日
午前10時~午後4時
過去の「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト」へのリンク
旧北炭清水沢火力発電所 続々■そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014(4)
■旧北炭清水沢火力発電所 そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014(2)
【告知】奔別アートプロジェクト2013
【告知】奔別アートプロジェクト (2012)
上遠野さんの展覧会へのリンク
■CAI02企画展 上遠野 敏 個展 ネ・申(さる)・イ・ム・光景
■夕張清水沢アートプロジェクト(3)
■夕張清水沢アートプロジェクト(2) 清水沢地区という会場
■幌内布引アートプロジェクト(2009年)
■「Interaction」ドイツ展 帰国展(2005年)
「Northern Elements」(2002年)
その後2009年には幌内布引(三笠)、11年に夕張清水沢、12年・13年に奔別(三笠)、14年は奔別と夕張、15年は夕張、16年に三たび奔別と、会場を変えてほぼ毎年続けられてきました。
赤平は昨年に続く開催となります。
今年は、上遠野さんの作品がとりわけ多く、個展といってもさしつかえないほど。
ここでは、2018年の赤平アートプロジェクトを、3回にわけて紹介します。まず、上遠野さんの作品をまとめて。
冒頭画像は「住友赤平立坑ネオン再び」。
会場は「坑口浴場」だった建物。
道路を挟んで向かい側に、赤平のシンボルともいえる住友赤平の立て坑があり、そのてっぺんに、この6文字のネオンサインが点灯していました。
(というか、筆者が見たときには、まだ取り付けてあったような気がする。いつ取り外したんだろう…)
要するに、ネオンサインが点灯するのですが、狭い部屋なので、ついていないときとの差が激しいです(つくと、まぶしい)。
かつては、赤平の街から見えていたのだろうなあと思います。
(ただし、同じ赤平でも茂尻から見えていたかどうかはわからない)
「石炭ガラガラ」。
白い箱の中に石炭が入っており、つまみを回すと、ガラガラとやかましい音を発するというもの。箱は、おそらく、商店街の福引きなどに使うものでしょう。
それが五つだか六つ並んでいて、訪れた人が自由に回せるようになっています。
石炭は、要するに大きめの石なので、発する音は非常に大きく、どこかの子が驚いて半べそをかいていました。
昔の石炭関連施設は、貨車に石炭を落として入れるものなど、大変な騒音だったんだろうな~と、気がつきました。
奥に見える赤い灯は、坂元あかりさん「灯火」です。
次は、大きな空間に展開しているインスタレーション「炭鉱用語」。
オレンジや黄緑の半透明のアクリル板に、炭鉱で使われる言葉を打ち出し、天井からつり下げています。
上遠野さんは
「専門用語にはその道の人に通じる「阿吽」の呼吸があるように思えます。来場者と炭鉱関係者がワードを挟んでコミュニケーションを取るのが狙いです」
とパンフレットに狙いを記しています。
その用語は
住友赤平炭鉱
閉山
山鳴り
山の神
坑内
ズリ山
出炭量
人車
三番方
一山一家
一番方
友子
二番方
炭住
炭層
仕繰
安全灯
炭車
ロング
石狩炭田
ドラムカッター
前山
松岩
自走枠
しゃくる
巻上
入気坑道
発破
炭塵
切詰
埋蔵量
コールピック
繰込み
黒ダイヤ
ロードカッター
保安
古洞
坑口浴場
山はね
上歌坑
坑口神社
ケージ
捜検
ほかにもいくつかあったと思います。
筆者も、意味がわからない言葉がけっこうありますし、一般的な語でも炭鉱では意味や語感が異なる場合があるのかもしれません。
さて、奥の空間には「閉山から二十四年。苔の生すまで」があります。
坑口浴場に生えたこけを集めて、1カ所にまとめた労作です。
「時の流れを感じる」
などと生易しい感想は脳裏に浮かばず、ただただ圧倒される感じです。
この奥の、天井の高い部屋には、地蔵が六つ並んでいました。
「苔地蔵」という題で、立坑巻揚室の苔むす場所で1年間保管してもらったそうです。
札幌軟石で作られているとのこと。
お地蔵さまの像は、上遠野さんの展覧会にはよく登場するアイテムです。
もともと浴室なので、湿気があるのかもしれませんが、筆者が訪れた際にはとりたてて湿っぽさは感じませんでした。
高所にある窓には黄色のセロファン(?)がはられて、中に差し込む光の色を幻想的なものに変えています。
次の記事は祭太郎について書こうと思います。
2018年9月8日(土)~10月8日(月)の土日祝日
午前10時~午後4時
過去の「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト」へのリンク
旧北炭清水沢火力発電所 続々■そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014(4)
■旧北炭清水沢火力発電所 そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014(2)
【告知】奔別アートプロジェクト2013
【告知】奔別アートプロジェクト (2012)
上遠野さんの展覧会へのリンク
■CAI02企画展 上遠野 敏 個展 ネ・申(さる)・イ・ム・光景
■夕張清水沢アートプロジェクト(3)
■夕張清水沢アートプロジェクト(2) 清水沢地区という会場
■幌内布引アートプロジェクト(2009年)
■「Interaction」ドイツ展 帰国展(2005年)
「Northern Elements」(2002年)
(この項続く)