こんなことをいきなり書くとしかられそうですが、今週は仕事が忙しく、当初は見に行く予定はありませんでした。滝川に住む杉山さんの作品は大変にユニークで、女性向けのかわいらしい世界観とは明確に一線を画した独特のものではありますが、正面切って
「これ、アートかな?」
といわれると、アートというよりは趣味だと感じたというのも理由です。
急いで付け加えると、アートだと偉いというつもりも全くありません。
ジャンル分けがどうでもいいというのも正論でしょう。
ところが案内はがきを見たら、道内を代表する写真家のひとりといえそうな活躍を見せている酒井広司さんが協力すると書かれているではありませんか。
足を運ぶことにしました。
会場には、ガレージハウスの12分の1模型がたくさん並んでいます。
当初は車のプラモデルから始まったのかもしれません。
実物のポルシェやランボルギーニを所有するのは難しくとも、プラモデルならなんとかなります。所ジョージの例にもあるように、高級スポーツカーを車庫に所有するというのも「男の夢」です。
酒井広司さん協力の「ギャラリーゴリラ」は、会場のいちばん奥にありました。
ギャラリー空間内にもうひとつ空間をつくってしまうというのは、武田さんの Takeda System を思い出させますが、こちらは人間が中に入れず、外からのぞき見するのが精いっぱいです。
この「のぞき見」という行為が、現代アートの親玉とでもいうべきマルセル・デュシャンの遺作につながるということを、酒井さんはじゅうぶんに意識しているようです。
もうひとつ指摘すれば、これはかつて伊藤隆介さんも言っていたことですが
「映像や写真の作品にはオリジナルサイズが存在しない」
ということ。
もちろん、写真のマーケットには「オリジナルプリント」というのがあります。
しかし、原理的には、写真は引き伸ばし機によって、大きく焼いたり小さくプリントしたり、自由です。
動画も、モニターや、投射する壁との距離など、さまざまな要因で、サイズが変更になるのです。
この小さな家に貼ってあるモノクロ写真は、おそらく酒井さんが自らプリントしたものでしょう。
あまりに小さすぎて、何がうつっているのか判然としません。
とはいえ、あらためて、美術作品の大きさとは何なのかを、考えさせる展示になっていると思います。
芳名帳までがミニサイズで再現されているのが、すごいですね。
童話のこびとになった気分で小屋の中で視線を走らせます。
高速道路のパーキングエリアなどに昔置かれていた、うどんなどが調理されて出てくる自動販売機のミニチュアもありました。
「シルバニアファミリー」などと近い世界なのだと思いますが、考えてみれば、ウルトラマンのソフビ人形や「サイボーグ1号」「ガンプラ」など、小さいもので遊ぶのは、性別とほとんど関係がない嗜好のようです。
何事もつきつめれば、すごいと感嘆させられました。
2024年3月20日(水)~25日(月)午前10時〜午後6時 (最終日~午後4時)
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)