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■冨家昭雄展 (2016年7月12~17日、札幌)

2016年07月22日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
承前

 2016年7月17日の続きで、日曜日のギャラリー巡り4カ所目。

 バスセンター駅から東西線にひと駅だけ乗って都心へ。

 さいとうギャラリーで個展を開いていた冨家昭雄さんは山梨県北杜市在住だが、生まれは札幌。
 アクリルとコラージュによる絵画を制作している。水彩連盟で同人になったあと、近年は国展にも出品し、準会員となっている。

 水彩といってもアクリルなので、さっき見てきた日本水彩画会の絵とはあまり似ていない。
 「創造都市計画図」と題した連作は、さまざまな矩形や三角形を配置した半抽象画のような作品で、いずれも正方形か縦長。
 ところどころにガーゼや厚紙などを貼ってマチエールにリズムをつくっている(道内の絵でコラージュというとありがちな和洋の新聞紙を貼り付けた絵は1点しかなかった)。
 遠くから大づかみに見ると、三角形に近い構図で安定しているのだが、近寄ってみると、それぞれの形は即興的に配置されており、各所に引かれている線もじつにスピーディー。海の色などに原色を差して、見る人の目をぐっと引きつける心憎い演出もある。

「下図は描きません。完成したらどうなるかは予想できないですね。描くというより、作っているという感覚です」
と冨家さん。
 住んでいる家も自分で建て、今回の個展の作品も自らトラックを運転して運んできたというから、DIY精神の豊かな人なのだろう。
「描くだけじゃ物足りないので、コラージュもしています」
 全体から受ける印象は非常に速度感があふれるものだが、コラージュの貼り方が雑という感は受けない。
 黒い線はコンテや木炭を用いているという。

 矩形や三角形、黒い線というと、キュビスムを思い出させるが、冨家さんの絵は即興的な楽しさがある。

 ほかに「横須賀」「丘の上から」など。人物画が1点あった。

 ふだん見る機会のない画家の作品に接するのも、いいものだと思った。


2016年7月12日(火)~17日(日)午前10時30分~午後6時30分(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)



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