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■田中良絵画展 北のアルプ美術館二十周年記念 北辺の大地に感謝をこめて (2012年10月17~28日、斜里)

2012年10月26日 21時09分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 おびただしい団体公募展の中でも、知名度の高さでは一、二を争うのは間違いない二科会。そのトップである理事長に今年夏就任した田中良さんの、おもに道内を描いた風景画の小品などを展示している個展が、オホーツク管内斜里町の「北のアルプ美術館」で開かれている。

 田中さんは茨城県在住だが、北海道、とりわけ知床やオホーツク地方には幾たびも足を運び、スケッチを重ね、作品を発表してきた。

 北海道を題材に絵を描く人は多い。そして、良い絵を制作する人は、足しげく訪れている人がほとんどだと思う。
 つまり、気軽な旅人の視線ではなく、そこに生きる人に近い目線で、風景に向き合っているのだ。田中さんも、そんな一人ではないか。

 本展覧会は商品の販売も行っている。
 そのための作品ではない、従来から展示されている所蔵品の「バス停のある浜辺」が、廊下にあった。
 「峰浜」のバス停が、少し傾いて、立っている。
 およそ風景画にはなりにくいモティーフ。人影はない。にもかかわらず、その絵には、たしかに、厳しい気候の北辺の地に暮らす人々の息づかいがこだましているように思えてくる。
 
 小品でも、たとえば「オホーツクの海辺」などは、雪の積もった斜面の上に漁村特有の板塀があって、北国らしいなあと感じる。
 「北国の春」は、小麦畑だろうか、大地のビリジャンと残雪の白が、長い冬を耐えてきてようやく春を迎えた人々の喜びを反映しているかのようだ。

 田中さんの筆致はやわらかい。
 精緻な描写ではなく、ゆったりと、おおまかに対象をとらえていく。
 そのせいか、凍てついた冬の野を描いていても、どこかあたたかい。


 出品作は次の通り。
斜里岳遠望 ※同題2点
大地
バラ
斜里岳
北の大地(能取)
北の漁港
山麓
ぶどう
早春の丘
峰浜
氷海  ※同題2点
北の岬(塩谷)
一筋の海
かに
オホーツク凪
山麓春めく
運河沿いの倉庫(小樽)
オホーツクの海辺
止別の海
北の海辺B
北の海辺A
よし原
花   ※同題2点
富士
葦原
オホーツクの海辺
北の大地
しゃくなげ
北国の春


2012年10月17日(水)~28日(日)10am~5pm、22・23日休み
北のアルプ美術館(オホーツク管内斜里町朝日町11の2)
入場無料



・JR知床斜里駅、斜里バスターミナルから約1.2キロ、徒歩15分


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