多田さんは札幌の陶芸家で、個展は2年ぶりです。
白を基調としたさわやかなうつわが人気で、今回、最終日の前日におじゃましたら、「売約済み」をあらわす赤い丸がけっこうついていました。
個展は2室をつかっています。エレベーターをおりて、中央の部屋に、冒頭画像の立体1点のみを展示し、左手の部屋にうつわをならべています。
(ちなみに右手の部屋は、先にエントリをアップした堀江登美子さんの人形展です)
大きな立体は
「戦士の揺かご -君にしばしの安らぎを- 2007.7月」
と題されています。
母鳥が大きな翼を抱きしめて子をまもっているような、そんなイメージが脳裏にうかんできます。
「現実社会でつらい目にあっていたりたいへんだったりする人にいやしを与えたい、というような気持ちです」
と多田さん。
「なにか自分の中に『思い』がないと、こういう作品はできないので」
ちょっと油断すると、積み上げた土が、乾く前にべろーんと両側に垂れ下がってきそうな、けっこう作りづらそうな形状です。
「垂直に積み上げるよりはるかに難しいのに、こういう形にしちゃったんですよね。土を積んでいくのは楽しかったけれど、かなり時間もかかりました。焼いて、割れなかったのは、良かったと思います」
一方、うつわの部屋は、左側の壁に白い器が、右側の壁に黒い器がならび、シンプルできれいな陳列になっています。
また中央には、大きな花入れがならんでいます。
この「花と遊び花と暮らす器」は、内側にひとまわり小さい花入れが仕込まれており、丈の高い花を入れておくことも、小ぶりの鉢を載せておくことも可能なスグレモノです。
「plate 翼 white」。
このほか「まるいcup」「white free cup」などの白い食器には、自由奔放な曲線が描かれているのが特徴。
線刻のように表面から浮き出ている曲線には灰色の顔料がほどこされています。
このプレートは、線も自由ですが、かたちも自由です。まるで雲形定規のようです。
黒い器のほうは、渦巻き紋様が描かれています。
多田さんの食器は表面がつるつるしているものが多いですが、使っていても意外と滑らず、手になじむというのが筆者の実感です。
08年4月24日(木)-29日(火)10:00-19:00(最終日-17:00)
アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル 地図B)
□サイト http://toukoubo.biz/
■2006年夏の個展
■06年1月の個展(画像なし)
■下澤敏也・多田昌代二人展(03年、画像なし)