岩見沢市の人形作家で、道展で入選を続けている堀江さんの8年ぶりの個展です。
冒頭の画像は「爽憬」。
薄緑色のワンピースが文字通りさわやかな作品です。
この作品が特にそうなのですが、堀江さんの人形には、1960年代あたりまでの日本女性が持っていたそこはかとない気品や純情さが感じられると思うのは筆者だけでしょうか。
JRの関係者を通じて吉永小百合様に堀江さんの人形が手渡しでプレゼントされたとのことですが、それも、堀江さんの人形が吉永さんの清楚さや気高い美しさと相通ずるものを持っているからではないかと思います。
手前の作品は、昨年の道展入選作「蒼穹」です。
「そうきゅう」と読み、青空の意味です。
堀江さんの人形は土を焼いて作ります。
多くは紙粘土を貼って色を着けますが、この「蒼穹」のように素焼きのものも何点かあります。
「紙粘土製と間違えられることがあるので、あえて素焼きのものも作っているんです」
とのことでした。
左は「待ちわびて」。
これも清楚な女性像で、ひざもとの麦わら帽子が良いアクセントになっています。
左は「懐慕」。
ふたりを題材にしためずらしい作品で、写真が案内状に使われていたものです。
ちなみに、1枚上の画像の右手に写っているものは、おなじ題材で着彩をほどこしたもの。ただし、おなじ型などを使っているわけではなく、大きさもわずかに異なります。
こうして見ると、堀江さんの人形は、ポーズひとつとってもけっこうバラエティにとんでいることがわかります。
これは堀江さんお気に入りの作品「未練」。
大きな椅子が特徴的です。
堀江さんは、完成後に題を考えるのだそうです。
「作っている途中でどんどん作品は変わりますし」
もうひとつ、堀江さんの人形の特徴は、顔を上げて上のほうを見ている像が多いこと。
もちろん、見る人の視線の高さとの関係もあるのでしょうが、その表情には希望がはらまれているようです。
堀江さんの人形はすべて女性です。
出品作は次のとおり。
「懐慕」(同題2点)
「待ちわびて」
「未練」
「紫陽花」
「黎明」
「余韻」
「素懐」
「祈心」
「爽憬」
「予感」
「蒼穹」
「落莫」
「可憐」
08年4月24日(木)-29日(火)10:30-18:00(最終日-16:00)
アートスペース201(中央区南2西1、山口中央ビル6階 地図B)
■創土会-素象人形展(03年、画像なし)