1963年生まれ、札幌南高を卒業後、東京藝大で学び、現在は茨城県在住の漆芸作家。
これが札幌では4度目の個展になると思います。
茶道具を中心に、皿や椀、小鉢、香合、水指、棗などが展示されています。
自分たちの会社で漆を採取しているというのがすごい。
辻徹さんが茨城に工房を構えているのも、漆を求めてのことだそうです。
漆の液というのは、漆の木の表面に傷をつけて採取するのですが、シラカバ樹液とは違って、年に4カ月間採取してわずか180ミリリットルしかとれないとのこと。
「一度に、耳かき程度しかとれないんです」
と辻さん。
奥の右手に並んでいるのは、畳に炉を切る際に使う炉縁。
貝裏をあしらった「燿貝螺鈿炉縁」は輝きが美しく、虫が食った跡を生かした「桑虫喰炉縁」などは渋いです。
これまで、樹液を採取したあとの漆の木は捨てられてきましたが、これに着目した辻さんが制作したのが、上の画像の、右手奥にある花入れ。
表面に刻まれた斜めの傷が、むしろ味わいをだしています。
左奥の割板皿も、樹液を取ったあとの木で制作したもの。
リサイクルの時代に合ってますね。
辻さんの作風は、漆の色を厚く塗るのではなく、元の木の風合いを生かしています。工業的に制作される器とは一線を劃したつくりを、みなさんの目で確かめていただきたいと思います。
2010年5月27日(木)~30日(日)9:00-6:00、ルネッサンスサッポロホテル1階(豊平区豊平4の1)
※27日(木)、28日(金)11:00-4:00には呈茶あり。300円
□公式サイト http://www1.ocn.ne.jp/~ware/
■辻徹個展 木と漆の仕事(2008年)
■辻徹個展 朱のうつわ・黒のうつわ(2003年)
・中央バス「豊平橋」からすぐ
・地下鉄東西線「菊水」駅1番出口から780メートル、徒歩10分
・地下鉄東豊線「豊水すすきの」3番出口から880メートル、徒歩12分