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原田マハ『モネのあしあと』(幻冬舎文庫)

2021年09月11日 09時53分58秒 | つれづれ読書録
 アートを題材にした小説で人気の原田マハさんが、印象派を代表するフランスの画家について易しく解説した一冊。
 すでに先行書はたくさんあるものの、日本を代表する舞踏家大野一雄とのかかわりや、モネの足跡を追って旅した際の印象など、他の書き手にはない要素をそろえて読ませるあたりは、さすがです。
 印象派の時代のフランス社会と現代日本との共通点について、SNSを挙げるあたりも、独自の視点だな~と思いました。

 ただ、これは原田さんのせいではないのですが、カラー図版なし、150ページで500円(税別)という設定には、いささか割高感があります。
 この本は2016年におなじ出版社から出た新書版の再刊。単行本を文庫にするサイクルとして4年というのは一般的(最近ではむしろ長い方)ですが、新書版をこんなにすぐ文庫化しますかね、ふつう?

 さらに信じられないのは、新書版が出たときの美術館のデータを再掲していること。「モネ作品を所蔵する施設データ」に「ブリヂストン美術館(長期休館中)」「東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館」とありますが、幻冬舎文庫編集部は怠けすぎじゃないでしょうか。もう2021年ですよ。
(言うまでもなく、前者はアーティゾン美術館、後者はSOMPO美術館に、それぞれ改称されています)


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