「11月のさっぽろをアートで埋め尽くすビックプロジェクト」(原文ママ)と銘打って、舞台、音楽など5分野でさまざまな催しが繰り広げられている「さっぽろアートステージ」。
このうち、美術関係では、すでに18日に「ART! MEET! MART!」というフリマの一種がひらかれました。このほか「500m美術館」と銘打ち、現代美術家の端聡さんのプロデュースによる作品展が、地下鉄東西線大通駅とバスセンター前駅をつなぐコンコースでひらかれています。
端さんはプロデュースにまわっており、今回は出品していません。
出品者は、伊藤隆介、黒田晃弘、YOMI、仙庭宣之、高幹雄、清治拓真、はなこ、今村育子、武田浩志、佐藤隆之、斎藤周の11氏。このほか、ひとり50センチ四方の大きさの平面によるグループ展「まぼろし遊園100人展 2」と、「ART! MEET! MART!」会場での「チャレンジ! キッズ! プログラム!」で子どもたちが制作した抽象画が3点展示されています。
ちなみに、斎藤周さんは「齋藤周」と表記するのが正しいと思うのですが、今回は、会場では「斎藤周」、公式サイトには「斉藤周」となっています。
つけくわえれば、会場の作品説明パネル類は、誤字脱字が多いです。さらに問題なのは、そのテキストをだれが書いたのか、わかりづらいことです。YOMIさんのように自らのサインが入っている場合は別ですが。
伊藤隆介さんの作品タイトルの下にある短いテキストを、作家本人が書いたとは、筆者にはとうてい信じられません。彼はこんなベタに明るい文を書く人ではないように思います(確認したわけではないですが)。しかし、このテキストは、コンコースを歩く一般の人に、伊藤隆介さんという人について誤解を与えかねないのではないでしょうか。
一般的には「わけのわからない」と形容されることの多い現代アートの作品をめぐって、ナビゲーター的な役割をはたすテキストをつけなくてはならない主催者側の苦労が、理解できないわけではありません。
ただ、今回のテキストは一般的に、やたらとネアカで、一本調子の前向きさがどうも引っかかります。また、作者のプロフィルで「高い評価を受けている」といった表現も多いですが、CAIの関係者が書いているのだとしたら、半ば「仲間ぼめ」みたいなもので、いささかしらけます。そんなにすごい人ばかりでしょうか。
後志管内倶知安町在住の磯崎道佳さんは「北海道の現代美術」という枠にまったくとどまらない活動を広く手がけている作家ですが、ご自身のブログ「ねてもいられない」で、この展覧会について「作家仲間のクラス会から脱していない」と、きびしい評価を下しておられます。
たしかに、「まぼろし遊園」というネーミングのセンスといい、出品者の顔ぶれといい、昨年秋に道立近代美術館でひらかれた「FIX! MIX! MAX!」を容易に聯想(れんそう)させます。しかし、CAI関係者だから現代美術である、というわけではないことは、言うまでもありません。
まあいいや。
大事なのは、作品です。
(長くなってきたので、別エントリに続く)
コメント返し、ありがとうございます。
こちらも誤解してました。
たしかに扱いは雑ですが、まあ、たまには、こうやってストリートに出ること自体は悪くないんじゃないかと。
で、こういうのを見た人が、ついでに美術館やギャラリーに足を運んでくれれば、ヤナイとしてはもう、言うことなしです。
また北海道美術ネットに足を運んでいただければうれしいです。
すみません・・・子供の絵並みとは一言も書いていません
子供の絵の「展示の仕方」と変わらないのではないか、
と書いたつもりでした。
この街は芸術家の作品を粗末に扱うんだなあと感じた次第であります
>フクメンねこさま
武田さんとか、あの設備を生かした展示になっていたとは思うのですが。
もともと、わりと殺風景なところだし、札幌市民ギャラリーへ行くときになんか見るものがあるのは、いいことなんじゃないかと思います。
>内地出身者さま
はじめまして。
子どもの絵なみのもありましたが、ぜんぶがそうではないと思います。
「泥縄感」がつたわってくるのは、確かですよね。
>takuさま
いつもどうもです。
「汚い壁に「→バスセンター前駅」とか「変質者に注意!」の
掲示物の横に平気で作品飾って」
というのは、逆におもしろいんじゃないかと。
たまに美術館やギャラリーのこぎれいな壁を離れて展示するのもいいかと思います。
テキストの校正はあんまりしてないんじゃないですかね。
人のこといえないけど(苦笑)。
>Hanaさま
いつもどうもです。
たしかにパリの地下鉄などに乗ると、ストリートミュージシャンがいます。
札幌でも、PMFや夏のジャズの関連行事はやっていますし、今回のアートステージでは大通駅にステージが設けられましたよね。
「聴きたくない人に聞かせる」というのも、またむつかしい問題があるのですが…。
今日やっと、行ってみて思ったのですが、本来歩く場所なので
静的な展示もいいけれど、音楽などの響きを生かせるものなら
あの場所を歩いている間中一つのメロディーが聞こえたりしたら
いいのになあと思ってしまいました。とびきり、素敵な音楽だったら、地下鉄のⅠ、2本ぐらいは遅らせて聞き入ってしまいたくなるような路上ミュージシャンが生まれたらあの場所はとびきりの地下通路になると思いませんか?札幌交通局も許可制にして警備の人もつけるくらいの計らいをしてくれたら、などと思ってしまいました。流れとは関係なくなってしまいましたが。
ところで、今日その通路で凧のあしの下をすごくうれしそうに肩で受けながら歩いている女性の姿を見て、私も何だか楽しくなってしまいました。
本人が文字校正していないんだったら問題ありますが。
作家の人って、自分の作る作品には情熱を注ぐけど、
案内状や宣伝文には気を使わない人が多いような気がします。
同じくらい大切な事なのに。
11月初めに通ってみた僕の主観ですが、
アートステージとしてこれだけ札幌の街を巻き込んで
やってるんだからわざわざ薄暗い地下を選ばなくても・・・
と思いました。
汚い壁に「→バスセンター前駅」とか「変質者に注意!」の
掲示物の横に平気で作品飾って。
それがアートだ!と強く言われたら、
「そういうものなのかなぁ」と思いますが。
上の方に、釣られます。
たんに、プロデュースされる方の力量不足でしょう。
力量以前かな。
デパートの催事場で時折飾られる、幼稚園児の作品発表会と変わりないように思いました。
別に磯崎さんが厳しい評価を下さなくても、なんといいますか、
札幌のこうした上っ面だけのイベントに警鐘を鳴らす方がごく自然だと思うのですが。
“この場所を活かす”
みたいなものはあまり必要ない要素なんでしょうか。
おかげで市民ギャラリーへの行き帰りは退屈せずに
歩きましたが、ちょっと物足りなさも感じました。