札幌の美術家、上遠野(かとおの)敏さんから、越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭について投稿がありました。筆者のいつ終わるとも知れぬ文章と違い、簡潔にまとめられていますので、ここにアップします。
菊池歩 「こころの花ーあの頃へ」
3万本のビーズの花がかたくりの花のようにブナ林に美しい光景を見せておりました。村人の協力で2年がかりで作ったそうです。
地域の人々と共につくるのがこの展覧会の良さを引き出しています。作品も美しいが「こころが美しい」と感じました。
今回、NO,1の作品と思いました。
レアンドロ・エルリッヒ 「妻有の家」
金沢21世紀美術館のプールの人。新潟の十日町は雪が深く、3階建てこのようなパッチワークの窓を散見する。
彼はそこが面白かったのでしょう。なにより鏡の効果でこのようなパフォーマンスが楽しめます。アートもサービス業。大事なこと。
みかんぐみ+BankART1929 「 BankART 妻有」
建築ユニット「みかんぐみ」の空家再生プロジェクト。庭に見えるのは数種類のお風呂プロジェクト。水風呂に腕をひたしてゆったりした気分になれました。
ここは迎える人も気持ちいい。冷たい麦茶をご馳走になりました。内部空間もシンプルに整えられてさりげなくアートと共存していました。
将来セミナーハウスとなるそうです。
マーリア・ヴィルッカラ 「TUMARI SU 3持ち上げて-行ったり来たり」
ここも空家。まだ生活の場もなまなましく、それをそのまま見せています。作家はこの家の時間や記憶の「事」を金箔でちょっとだけコメントを入れています。当時住んでいた幼い姉妹が作ってもらったブランコが気配を感じさせます。
神棚、そして6月に亡くなったおばあちゃんの位牌も仏壇にありました。もちろん手を合せさせて頂きました。
「儀明劇場 倉」 中村祥二設計 アーティスト中瀬康志+3名
空家から突き出した空中廊下が楽しい。里山とひとつになれました。ここを使い「文楽」などを行うそうです。
入口の旋回するアプローチもよく、内部空間も良かったです。
他に、日大彫刻科の脱皮する家。彫刻刀で彫られた床が足裏で感じられて、その感覚がとてもよかったです。
ここは完全に再生され、どなたかが買い取ったそうです。
ボルタンスキー、アブラモヴィッチ等々も見れました。
越後は米よし、へぎそば絶品、酒よし、棚田(北海道のように平地がありません)の光景よしでした。
今回で終わりの噂もありますが、また行って見たいところでした。
アートは地域の持っている価値を引き出すちからを持っています。
なにより、生き生きと話や挨拶をしてくれる地域住民の方のちからとなっていることがすばらしい。
9/10で終わるのが惜しまれます。