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中橋修展「内包」-内にあるもの-(8月7日まで)

2006年08月06日 06時27分41秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 「内包」と銘打たれた個展のシリーズでは、おもにアクリルを用いたシンプルなインスタレーションにとりくんでいる札幌の中橋さん。今回、ギャラリーの向かって左側の窓を半ばふさぐように並べたのは、前回の個展にも1個が出品されていた立体を、9つまで増やしたもので、壮観です。
 ギャラリーオーナーの門馬よ宇子さんの
「これ、ぜんぶの窓にあったらおもしろいかも」
という一言に触発されて制作したとのこと。
 一見すると、64のますがあるクロスワードパズルのように見えますが、厚みのある立体です。
 裏側(窓側)は、アクリル板でふさがれており、中央に丸い小さな穴があいていたり、たてに細いスリットが入っていたりします。手前側は、やはり中央に穴があいた板でふさがれているますと、板でふさがれていないますがあります。
 拡大すると、こんな感じです。
       
 9個のそれぞれがランダムなパターンになっているような気がしますが、じつは9個ともまったく同一の作品。ただ、交互に、90度回転させて設置してあります。
 中橋さんによると、黒いますの模様が何かの形に見えたり、目に残る規則性を持ったりしないように配置するのが、大変だったといいます。
 たしかに、1個ずつ白と黒が交互にならんだりすれば、きれい過ぎるし、白や黒が3個以上つづくと、その部分がほかより目立ってしまいそうです。絶妙の配置なんですね。
 ちなみに、数えてみると、黒が33、白が31でした。
 それぞれの作品の大きさはおよそ82センチ四方。窓の桟を目立たせないよう、窓枠よりわずかに小さくなっているのがミソです。

 「夕方の薄暮時には、作品が真っ青になる。ガガーリンの『地球は青かった』を思い出させ、きれい」
 ただし、ギャラリーの閉まった後の時間帯だそうです。
 「内包」というのは、光もふくめた、外のものも包み込んだ-という意味なのでしょう。
 それに対し、奥のほうにある立体は、それ自体で自足しているような作品です。
       
 手前側が、透明な板でふさがれているのです。

 その反対側の壁には、こんなインスタレーションも。
 うわー、ドナルド・ジャッドだあ、と思いました。あれより小さいし、数も多いけど。
       

 いま、ジャッドのなまえが出ました。絵画から出発して立体に移行したという点でも、中橋さんとジャッドは共通していますが、ジャッドが、作品それ自体にはとりつくしまがない感じがするのに対し、中橋さんのほうは、細部まで楽しめる部分があります。
 たとえば、今回のメーンの作品でも、中央の穴の位置がそれぞれのますで微妙にちがっているし、スリットの太さもわずかに異なります。工業製品でなく、手づくりゆえの味でしょう。
 また、スリットから漏れる光の太さと、上下の黒い板に反射する光の太さがちがうのも不思議です。
 ミニマルアートが絵画の延長線上にあるとされるのに対し、中橋さんの作品は、それ自体の美しさを求めている点で、彫刻に近いのかもしれません。
 ただ、会場を強く意識している、いわばサイトスペシフィックなところは、既存の彫刻とは一線を画しているといえるでしょう。   

8月1日(火)-7日(月)11:00-19:00
ギャラリー門馬ANNEX(中央区旭ヶ丘2 地図F )

□中橋さんのサイト(毎日更新しています)

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