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第70回方究会記念展(5月20日終了)

2006年05月20日 22時23分12秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 方究会は、1936年(昭和11年)に初めてひらかれた洋画と版画のグループ展です。公募展や、学校のサークル・部活動を除けば、最も歴史の長いグループなのではないでしょうか。すごいと思うのは、創立メンバーのひとりである平野俊昌さん(1914年生まれ)がご健在で、今回も「赤いテンガロンハット」(F20)と題した油彩を発表していることです。赤い大きな帽子をかぶった女性がモデルで、背景の青と、まばゆい対比を見せています。
 会の名付け親は、平野さんが白日会で師と仰いでいた中沢弘光(1874-1964)。会場には、中沢が昭和8年に、平野さんの母親をモデルに描いた肖像画と、「後志・積丹岬」と題のある色紙が展示されていました。
 また、第1回の目録もありました。会場は丸井今井百貨店。平野さんのほか、版画の五代重雄、加藤哲之助、洋画の古峨道雄、小梁川重彦、山川輝子の名前が記されています。このうち小梁川は美術よりも詩人として有名だった人です。
 戦後は、上野山清貢や岡部文之助(いずれも全道展創立会員)の賛助出品を仰いだこともあったそうです。

 ざんねんなのは、唯一の版画のメンバーだった尾崎志郎さんが亡くなったことで、今回は「曇り日の漁場」「秋陽漁家」という遺作2点が展示されていました。尾崎さんらしい、古い建築を正面からとらえた木版画です。尾崎さんは全道展会員で、北海道版画協会の創立メンバーでもありました。

 1920年生まれの川村正男さん(白日会会員)も、あいかわらずみずみずしい絵を発表しています。今回は、「時雨る斜里岳」(P30)の明るさと透明感に惹かれました。ほかに「ベネチアの朝」(F50)。
 おなじく白日会会員の南里葉子さんは、手堅い静物画です。「白いテーブルセンター」(F60)には、貝殻、ほおずき、ドライフラワーが挿されたガラス瓶などが横にならべられています。ほかに「古いランプ」(F20)。
 小林耀子さんは、中国に材を得た「碧天の下で」(F100)。以前よりもデフォルメの度が進んだように思えます。
 安河内太郎さんの「初夏」「ペットの散歩」(いずれもF30)は、白っぽい色調が独特です。

 他の出品作は次のとおり。
池田三枝「静かな時間」(F30)「情熱の花(アンセリウム)」(同)
笹谷圭子「海へ」(同)「赤いマフラー」(同)
杉本セツ「黄色い並木路」(F20)「苺のある静物」(同)
千葉久信「流氷の海」(F60)
福家久美子「ひまわり」(F25)「春が来た」(F30)
横田章「女学生達(イスタンブール)」(F50)「午後の裏街」(F30)
吉岡良子「窓辺の静物」(F40)「窓辺」(F30)
関建治「春待つ浜」(F100)「声楽家Iさん」(F30)=以上油彩
高橋芳夫「ウイドウSのアートフラワーA」(F20)「ウイドウSのアートフラワーB」(同)
増田正子「球形I」(同)「球形II」(同)
宮崎君子「白い水差しの花」(F40)「M嬢」(F20)
渡辺弘子「バラのある静物」(P20)「奇岩の浜辺」(M40)  

5月15日(月)-20日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)、札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A)。


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