意外な方面から野外彫刻の本が出ました。
これまでの彫刻の本というと、マッスがどうのボリュームがどうのと論じたり、作者について書いたりする専門家向けの批評が多く、そこに歴史や社会の視点を持ち込んだ斬新な切り口の文筆を展開している代表的な書き手が小田原のどかさんといえます。
ところがこの本は、そのいずれでもありません。いわば、彫刻を建立しようと奔走した裏方の奮闘に焦点を絞っている、たいへんユニークな視点の一冊です(前書きによれば、木下直之氏の「銅像時代」に倣ったとのことですが)。
小沢さんは北海道新聞のOBで、退職後は道新文化センターの講師を務めています。
札幌の歴史などを調べているうち、中島公園を歩いていて、朝倉文夫「木下成太郎像」に行き当たり、なんでこんなところにこんなものが…と興味を持ったのがきっかけだそうです。
それから、過去の新聞などを調べたり関係者に当たったりするところは、さすが新聞記者で、いろいろなエピソードが語られています。
クラーク像が北大とは別に羊ケ丘展望台にあるのはなぜかとか、南4東4にある新渡戸稲造記念像(山内壮夫作)ができるまでのいきさつとか、大沼に東郷平八郎像の台座だけが残っているとか、筆者の知らない話が満載です。
(大通公園の石川啄木とトウモロコシの話は知ってました)
筆者が気に入ったのは、1964年に、荻野吟子が主人公のテレビドラマを見た当時の松本剛太郎・北海道医師会会長が、彼女が日本初の女性医師と初めて知った驚きで、彼女の研究に没頭。会長職も退き、研究の成果を、医師会会報「北海道医報」に連載します。それをたまたま札幌医大の当直室で手にとって読んだのが、若き日の渡辺淳一だったというエピソード。
松本剛太郎は、檜山管内瀬棚町長(現せたな町)の協力を得て、荻野吟子顕彰碑建設期成会をつくるとともに、制作を本田明二に依頼し、彼女が開業した跡地に1967年、碑をたてて除幕式を行うのです。
この本の目次をここに書き写しておきます。
目次に彫刻家名がないのが、この本のスタンスだと思います。
なお、金属供出のため無くなり、戦後再建されていないものもあります。
【札幌】
クラーク(北区)
クラーク(豊平区)
黒田清隆(中央区)
永山武四郎(中央区)
岩村通俊(中央区)
石川啄木(中央区)
島義勇 (中央区)
村橋久成(中央区)
新渡戸稲造(中央区)
ダン(南区)
木下成太郎(中央区)
梁田貞(中央区)
大迫尚俊(中央区)
【道央】
クロフォード(小樽)
広井勇、伊藤長右衛門(小樽)
北垣国道(小樽)
岩崎きみ(留寿都)
榎本武揚(江別)
ケプロン(室蘭)
伊達邦成、田村顕允(伊達)
三松正夫(壮瞥)
【道南】
石川啄木(函館)
高田屋嘉兵衛(函館)
久慈次郎(函館)
ペリー(函館)
土方歳三(函館)
平塚常次郎(函館)
伊能忠敬(福島)
荻野吟子(せたな)
大山巌、東郷平八郎(七飯)
【道北】
スタルヒン(旭川)
永山武四郎(旭川)
岩村通俊(旭川)
石川啄木(旭川)
五十嵐億太郎(留萌)
【道東】
石川啄木(釧路)
松浦武四郎(釧路)
依田勉三(帯広)
関寛斎(陸別)
森繁久彌(羅臼)
札幌の出版社、柏艪舎の名が背や奥付に記してありますが、自費出版のようです。札幌市内の大きな本屋にはまだ在庫があるかもしれません。
これまでの彫刻の本というと、マッスがどうのボリュームがどうのと論じたり、作者について書いたりする専門家向けの批評が多く、そこに歴史や社会の視点を持ち込んだ斬新な切り口の文筆を展開している代表的な書き手が小田原のどかさんといえます。
ところがこの本は、そのいずれでもありません。いわば、彫刻を建立しようと奔走した裏方の奮闘に焦点を絞っている、たいへんユニークな視点の一冊です(前書きによれば、木下直之氏の「銅像時代」に倣ったとのことですが)。
小沢さんは北海道新聞のOBで、退職後は道新文化センターの講師を務めています。
札幌の歴史などを調べているうち、中島公園を歩いていて、朝倉文夫「木下成太郎像」に行き当たり、なんでこんなところにこんなものが…と興味を持ったのがきっかけだそうです。
それから、過去の新聞などを調べたり関係者に当たったりするところは、さすが新聞記者で、いろいろなエピソードが語られています。
クラーク像が北大とは別に羊ケ丘展望台にあるのはなぜかとか、南4東4にある新渡戸稲造記念像(山内壮夫作)ができるまでのいきさつとか、大沼に東郷平八郎像の台座だけが残っているとか、筆者の知らない話が満載です。
(大通公園の石川啄木とトウモロコシの話は知ってました)
筆者が気に入ったのは、1964年に、荻野吟子が主人公のテレビドラマを見た当時の松本剛太郎・北海道医師会会長が、彼女が日本初の女性医師と初めて知った驚きで、彼女の研究に没頭。会長職も退き、研究の成果を、医師会会報「北海道医報」に連載します。それをたまたま札幌医大の当直室で手にとって読んだのが、若き日の渡辺淳一だったというエピソード。
松本剛太郎は、檜山管内瀬棚町長(現せたな町)の協力を得て、荻野吟子顕彰碑建設期成会をつくるとともに、制作を本田明二に依頼し、彼女が開業した跡地に1967年、碑をたてて除幕式を行うのです。
この本の目次をここに書き写しておきます。
目次に彫刻家名がないのが、この本のスタンスだと思います。
なお、金属供出のため無くなり、戦後再建されていないものもあります。
【札幌】
クラーク(北区)
クラーク(豊平区)
黒田清隆(中央区)
永山武四郎(中央区)
岩村通俊(中央区)
石川啄木(中央区)
島義勇 (中央区)
村橋久成(中央区)
新渡戸稲造(中央区)
ダン(南区)
木下成太郎(中央区)
梁田貞(中央区)
大迫尚俊(中央区)
【道央】
クロフォード(小樽)
広井勇、伊藤長右衛門(小樽)
北垣国道(小樽)
岩崎きみ(留寿都)
榎本武揚(江別)
ケプロン(室蘭)
伊達邦成、田村顕允(伊達)
三松正夫(壮瞥)
【道南】
石川啄木(函館)
高田屋嘉兵衛(函館)
久慈次郎(函館)
ペリー(函館)
土方歳三(函館)
平塚常次郎(函館)
伊能忠敬(福島)
荻野吟子(せたな)
大山巌、東郷平八郎(七飯)
【道北】
スタルヒン(旭川)
永山武四郎(旭川)
岩村通俊(旭川)
石川啄木(旭川)
五十嵐億太郎(留萌)
【道東】
石川啄木(釧路)
松浦武四郎(釧路)
依田勉三(帯広)
関寛斎(陸別)
森繁久彌(羅臼)
札幌の出版社、柏艪舎の名が背や奥付に記してありますが、自費出版のようです。札幌市内の大きな本屋にはまだ在庫があるかもしれません。